統計学 学習ノート

統計検定の4級から1級まで、出題範囲の順に記事と練習問題で学ぶ

2級-2 推測統計の基礎

データの分布の記述

  • 質的変数(カテゴリカル・データ)
  • 量的変数(離散型
  • 連続型)
  • 棒グラフ
  • 円グラフ
  • 幹葉図
  • 度数分布表
  • ヒストグラム
  • 累積度数グラフ
  • 分布の形状(右に裾が長い
  • 左に裾が長い
  • 対称
  • ベル型
  • 一様
  • 単峰
  • 多峰)

はじめに

「データをもらったけど、どこから見ればいいの?」

表計算ソフトのファイルを開くと、数字がずらりと並んでいます。1行ずつ目で追っても、全体がどうなっているのかは、さっぱり分かりません。

例えば、人気のラーメン店で、お客さん20人の待ち時間を記録したとします。3分の人もいれば、58分の人もいます。ふつうはどのくらい待つのでしょうか? 長く待つ人は多いのでしょうか? 数字の列のままでは、こうした問いに答えられません。

実は、データを見るときに最初にやることは、計算ではありません。データを並べ直して、どの値がどれくらいあるのかという全体の姿を見ることです。森の中を歩き回る前に、上空から森全体の形を眺めるイメージです。

そこで登場するのが、今回の主役 分布 です。分布とは、データの値がどのように散らばっているかという全体の様子のことです。

前回の記事では、データの出どころと公的統計について学びました。今回の記事では、変数の種類の見分け方、種類に応じたグラフの選び方、そして分布の形を言葉で表す方法について解説します。4級と3級で学んだグラフが多く出てくるので、2級で問われる注意点を中心に見ていきましょう。

変数の種類を見分ける

はじめに、変数の種類について解説します。

グラフを選ぶ前に、まずデータの種類を見分ける必要があります。料理の前に、肉か魚か野菜かを確かめるようなものです。素材が違えば、切り方も変わります。

3級で学んだように、変数は大きく2つに分かれます。

【変数の種類】

  • 質的変数(カテゴリカル・データ): 分類を表す変数。血液型、都道府県、満足度の5段階など
  • 量的変数: 数量を表す変数。さらに離散型と連続型に分かれる

質的変数は、数字で書かれていても計算に意味がありません。例えば、郵便番号を足しても何も分かりませんよね。3級で学んだ尺度で言えば、名義尺度と順序尺度が質的変数、間隔尺度と比例尺度が量的変数にあたります。

量的変数の2つの型は、次のように区別します。

  • 離散型: とびとびの値をとる。「数える」もの。来店者数、きょうだいの人数、サイコロの目など
  • 連続型: 切れ目なく、どんな値でもとれる。「測る」もの。身長、体重、待ち時間、気温など

見分け方はシンプルです。「0.5人」のように、間の値が意味を持たないものは離散型です。「170.25cm」のように、測り方を細かくすればいくらでも間の値があるものは連続型です。

せっかくなので、1つの場面で分けてみましょう。ラーメン店の記録なら、次のようになります。

記録した項目変数の種類
注文したメニュー質的変数
同行した人数量的変数(離散型)
待ち時間量的変数(連続型)

試験のポイント:数字で書かれていても、番号や順位のように分類を表すものは質的変数です。

以上が、変数の種類についての解説です。

質的変数を描く:棒グラフと円グラフ

次に、質的変数のグラフについて説明します。

質的変数を整理するには、カテゴリごとの個数を数えます。そのあとで使う代表的なグラフが、棒グラフと円グラフです。

【質的変数のグラフ】

  • 棒グラフ: カテゴリごとの度数を棒の長さで表す。カテゴリどうしの大小を比べるのが得意
  • 円グラフ: 全体を100%として、各カテゴリの割合を扇形で表す。全体に対する内訳を見るのが得意

例えば、ラーメン店で1日に出たメニューが、しょうゆ60杯、みそ30杯、塩10杯だったとします。「しょうゆはみその2倍」と比べたいなら棒グラフ、「しょうゆが全体の60%」と伝えたいなら円グラフです。つまり、知りたいことが「大小」か「内訳」かでグラフを選びます。

ここで、読み取りの注意点を2つ押さえておきましょう。

【グラフを読むときの注意】

  1. 棒グラフの縦軸が0から始まっていないと、差が実際より大きく見える
  2. 円グラフは、合計が100%になる内訳にしか使えない。立体にすると手前が大きく見える

具体的に見てみましょう。売上が100万円と105万円の2店を、縦軸を95万円から始めた棒グラフで描くと、棒の長さは5と10になります。わずか5%の差が、2倍の差に見えてしまうのです。

また、「好きなメニューを全部選んでください」という複数回答の結果は、合計が100%を超えます。これは内訳ではないので、円グラフにはできません。

以上が、質的変数のグラフについての説明です。

量的変数を描く:幹葉図からヒストグラムまで

続いて、量的変数のグラフについて解説します。

量的変数は値の種類が多いので、カテゴリのように1つずつ数えても全体が見えません。そこで、値の近いものをまとめます。主な道具は4つあります。1つずつ見ていきましょう。

冒頭のラーメン店の待ち時間(分)を、小さい順に並べたものが次のデータです。

3, 5, 8, 9, 12, 12, 13, 15, 16, 18, 18, 19, 21, 22, 24, 27, 31, 35, 42, 58

1. 幹葉図

幹葉図 は、数字の上の位を「幹」、下の位を「葉」として並べた図です。待ち時間なら、十の位が幹、一の位が葉になります。

幹葉
03 5 8 9
12 2 3 5 6 8 8 9
21 2 4 7
31 5
42
58

例えば、幹が1で葉が2なら12分です。葉の並びがそのまま棒の長さになるので、分布の形が見えます。さらに、元のデータの値が1つも失われないのが強みです。データの数が多くなると、葉が長くなりすぎて使いにくくなります。

2. 度数分布表

度数分布表 は、値を区間に分けて、それぞれの区間に入る個数を数えた表です。区間を階級、個数を度数と呼びます。

階級(分)度数相対度数累積度数累積相対度数
0以上10未満40.2040.20
10以上20未満80.40120.60
20以上30未満40.20160.80
30以上40未満20.10180.90
40以上50未満10.05190.95
50以上60未満10.05201.00

相対度数は全体に対する割合で、累積度数はその階級までの度数の合計です。階級にまとめると全体は見やすくなりますが、1つ1つの値は分からなくなります。

3. ヒストグラム

ヒストグラム は、度数分布表を柱で描いたグラフです。横軸が階級、縦軸が度数です。

棒グラフと似ていますが、別物です。棒グラフはカテゴリの間に隙間があり、順番を入れ替えてもかまいません。ヒストグラムの横軸は連続した数値なので、柱はくっつけて描き、順番も入れ替えられません。

ここがポイントです。ヒストグラムで度数を表しているのは、柱の 面積 です。階級の幅がすべて同じなら、高さと面積は比例するので、高さで読めます。でも、幅が違う階級があると、そうはいきません。

例題:階級の幅が違うヒストグラム

待ち時間のデータを、次の階級にまとめ直しました。ヒストグラムを描くとき、最も高い柱はどの階級でしょうか?

階級(分)0〜1010〜2020〜4040〜60
度数4862

【解き方】

  1. 柱の面積を度数に合わせるので、高さは 度数 ÷ 階級の幅 で求める
  2. それぞれ計算する: 4 ÷ 10 = 0.4、8 ÷ 10 = 0.8、6 ÷ 20 = 0.3、2 ÷ 20 = 0.1

答えは10〜20の階級です。20〜40の階級は度数6で0〜10より多いのですが、幅が2倍あるので、柱の高さは0〜10より低くなります。

4. 累積度数グラフ

累積度数グラフ は、横軸に値、縦軸に「その値より小さいデータの累積度数」をとり、点を線で結んだグラフです。縦軸を累積相対度数にすれば、0から1まで上がる線になります。

階段を上っていくイメージです。データがたくさんある区間では急な上り坂になり、少ない区間ではなだらかになります。線は上がるか平らになるだけで、下がることはありません。

このグラフは、「ある値より小さいデータは全体の何%か」を読むのに向いています。

例題:累積相対度数を読む

待ち時間の度数分布表から、次の値を読み取りましょう。

  1. 待ち時間が20分未満の人の割合
  2. 待ち時間が30分以上の人の割合
  3. 中央値が入っている階級

【解き方】

  1. 階級10〜20の累積相対度数を読む: 0.60、つまり60%
  2. 全体から30分未満の割合を引く: 1 − 0.80 = 0.20、つまり20%
  3. 累積相対度数が初めて0.5を超える階級を探す: 10以上20未満

答えは、順に60%、20%、10分以上20分未満の階級です。実際のデータの中央値は18分で、たしかにこの階級に入っています。

試験のポイント:累積度数のグラフで「〜以上」の割合を聞かれたら、全体の1から引きます。傾きが急な区間ほど、データが集まっています。

以上が、量的変数のグラフについての解説です。

分布の形を言葉にする

最後に、分布の形を言葉で表す方法を見ていきましょう。

ヒストグラムが描けたら、次はその形を言葉にします。人の顔を「面長で、目が大きい」と説明するように、分布にも決まった言い方があります。これらの 分布の形状(右に裾が長い、左に裾が長い、対称、ベル型、一様、単峰、多峰) が、試験で問われる用語です。

まず、左右のバランスで見ます。

【左右のバランス】

  • 対称: 中心で折ると左右が重なる形。例:サイコロを多数回投げたときの目の合計
  • 右に裾が長い: 山が左に寄り、右へ長く尾を引く形。例:年収、待ち時間、貯蓄額
  • 左に裾が長い: 山が右に寄り、左へ長く尾を引く形。例:易しいテストの点数、満席に近い日が多い映画館の入場者数

富士山のふもとを思い浮かべてください。裾とは、山のすそ野のことです。「右に裾が長い」は、山の頂上ではなく、すそ野が右へ伸びている形を指します。つまり、山そのものは左に寄っています。名前と山の位置が逆になるので、まちがえやすいところです。

待ち時間のデータを見てみましょう。10分台に山があり、58分まで右へ長く伸びています。したがって、右に裾が長い分布です。

次に、山の数と全体の形で見ます。

【山の数と形】

  • 単峰: 山が1つの形
  • 多峰: 山が2つ以上ある形。2つなら二峰とも言う
  • ベル型: 左右対称で、釣り鐘のように中央が高い単峰の形。身長や測定の誤差など
  • 一様: 山がなく、どの階級の度数もほぼ同じ形。サイコロの目が出た回数など

ここで大切なのが、多峰の読み方です。山が2つあるときは、性質の違う2つのグループが混ざっていることを疑います。

例えば、大人の身長を男女あわせてヒストグラムにすると、女性と男性の2つの山が現れることがあります。せっかくなので、別の例も見てみましょう。ラーメン店の来店時刻は、昼の12時台と夜の7時台に山ができます。昼休みのお客さんと、夜の仕事帰りのお客さんが混ざっているからです。こうしたときは、グループに分けてから分析するのが基本です。

例題:分布の形を読み取る

あるテストの度数分布は次のとおりです。分布の形を説明しましょう。

点数0〜2020〜4040〜6060〜8080〜100
人数25102538

【解き方】

  1. 山の数を見る: 度数は右へいくほど増え、山は1つなので単峰
  2. 山の位置を見る: 80〜100に山があり、右に寄っている
  3. 裾を見る: 低い点へ向かって、左へ長く伸びている

答えは、左に裾が長い単峰の分布です。「右に偏っているから右に裾が長い」と答えないように注意しましょう。

試験のポイント:「裾が長い」の方向は、山のある側ではなく、尾が伸びている側で答えます。

以上が、分布の形を言葉にする方法についての説明です。

全部の用語を一度に覚えられなくても問題ありません。ここでは、「種類に合わせてグラフを選び、左右のバランスと山の数で形を言葉にする」という点だけ押さえておきましょう。

今回のまとめ

それでは、今回の内容を振り返ります。

今回はデータの全体の姿である分布を、グラフと言葉で記述する方法について紹介しました。数字の列を眺めていても見えなかったものが、並べ直すだけで形として見えてきます。分析は、この上空からの眺めから始まります。

今回のポイントを振り返りましょう。

振り返り

  • 変数は質的変数と量的変数に分かれ、量的変数はさらに離散型と連続型に分かれる。
  • 棒グラフは大小、円グラフは内訳。量的変数は幹葉図、度数分布表、ヒストグラム、累積度数グラフで見る。
  • ヒストグラムの度数は柱の面積で表す。階級の幅が違うときは 度数 ÷ 幅 が高さになる。
  • 「右に裾が長い」は山が左に寄った形。方向は尾の伸びる側で答える。
  • 山が2つあったら、違うグループの混ざりを疑う。

キーワードのおさらい

  • 質的変数(カテゴリカル・データ): 分類を表す変数
  • 量的変数(離散型、連続型): 数量を表す変数。数えるものが離散型、測るものが連続型
  • 棒グラフ: カテゴリごとの度数を棒の長さで表すグラフ
  • 円グラフ: 全体に対する内訳を扇形で表すグラフ
  • 幹葉図: 上の位を幹、下の位を葉として並べた図
  • 度数分布表: 階級ごとに度数をまとめた表
  • ヒストグラム: 度数分布表を、面積が度数を表す柱で描いたグラフ
  • 累積度数グラフ: その値までの累積度数を線で描いたグラフ
  • 分布の形状(右に裾が長い、左に裾が長い、対称、ベル型、一様、単峰、多峰): 分布の形を説明する言葉

さて、分布の形が言葉で表せるようになると、今度は「この分布の中心はどこか」を1つの数で言いたくなります。右に裾が長い分布では、平均値と中央値のどちらが大きくなるのでしょうか?

次回は、分布の中心を表す「中心傾向の指標」について紹介します。

それでは、次の記事へ進んでいきましょう。

練習問題5問開いて挑戦する
問1. 次の変数のうち、離散型の量的変数として最も適切なものはどれか。
問2. 50人のテストの度数が、0〜20点が5人、20〜40点が15人、40〜60点が20人、60〜80点が8人、80〜100点が2人だった。60点未満の人の割合として正しいものはどれか。
問3. ヒストグラムで、幅が10で度数が10の階級の柱の高さを1とする。同じヒストグラムの、幅が20で度数が16の階級の柱の高さとして正しいものはどれか。
問4. 世帯の年間所得のヒストグラムは、低い階級に山があり、高い階級へ向かって度数が少しずつ減りながら長く続いていた。この分布の説明として最も適切なものはどれか。
問5. ある工場の製品の重さのヒストグラムが、はっきりした2つの山を持つ多峰の形をしていた。最初に考えるべきこととして最も適切なものはどれか。