統計学 学習ノート

統計検定の4級から1級まで、出題範囲の順に記事と練習問題で学ぶ

3級-4 データ分析の基本

1変数のグラフの見方・読み方

  • 棒グラフ
  • 折れ線グラフ
  • 円グラフ
  • 帯グラフ
  • 積み上げ棒グラフ
  • レーダーチャート
  • バブルチャート
  • ローソク足

はじめに

「徒歩で通う人の割合は減ったって書いてあるのに、なんで校門の前は前より混んでるの?」

ある学校の通学手段を、10年前と今で比べた帯グラフを見たとしましょう。徒歩の割合は50%から40%に減っています。ところが、実際に校門の前を歩く生徒は、むしろ増えていました。グラフが間違っているのでしょうか?

実は、グラフは間違っていません。10年の間に、生徒の総数が増えていたのです。割合のグラフは割合しか語らないので、人数の変化は読み取れません。

グラフは、データの特徴を一目で伝える便利な道具です。ただし、道具にはそれぞれ得意なことと苦手なことがあります。そこを知らないと、正しいグラフからまちがった結論を読み取ってしまいます。

そこで登場するのが、今回の主役 レーダーチャート、バブルチャート、ローソク足 です。4級で学んだ棒グラフや円グラフに、この3つの新しい顔ぶれが加わります。

前回の記事では、実験の考え方を学びました。今回の記事では、基本のグラフの落とし穴を確かめたうえで、新しい3つのグラフの読み方について解説します。

大きさと変化を見る:棒グラフと折れ線グラフ

はじめに、棒グラフと折れ線グラフについて解説します。

4級の復習を短くしましょう。棒グラフ は、項目ごとの量を棒の長さで比べるグラフです。折れ線グラフ は、時間とともに量がどう変わるかを線で表すグラフです。要するに、棒グラフは「どれが大きいか」、折れ線グラフは「どう変わったか」の担当です。

3級で意識したいのは、グラフの目盛りです。

棒グラフは、棒の長さで量を比べます。そのため、目盛りは必ず0から始めます。具体的に見てみましょう。2つの店の満足度が98点と100点だったとします。目盛りを97点から始めて描くと、棒の長さは1と3になり、3倍の差があるように見えてしまいます。実際の差は2点で、比にすると約1.02倍にすぎません。

これは、身長を比べるときに、2人の足元を切り落として写真を撮るようなものです。

折れ線グラフは、量そのものより変化を見るので、0から始めないこともあります。ただし、縦軸の範囲を狭めるほど、小さな変化が大きく見えます。折れ線グラフを読むときは、線の角度に驚く前に、縦軸の目盛りを確かめましょう。

また、折れ線グラフは、順番に意味がある時間のデータに使います。都道府県のように順番に意味がない項目を線でつなぐと、ありもしない変化を描いてしまいます。3級の最初の記事で学んだ尺度の言葉で言えば、横軸が名義尺度のときは線でつなぎません。

試験のポイント:グラフを読むときは、最初に目盛りの始まりと単位を確かめます。目盛りの操作で印象を変えたグラフは、選択肢の定番です。

以上が、棒グラフと折れ線グラフについての解説です。

内訳を見る:円グラフ・帯グラフ・積み上げ棒グラフ

次に、全体の内訳を見るグラフについて説明します。

円グラフ は、全体を100%として、円を扇形に分けたグラフです。帯グラフ は、同じ内訳を横長の帯で表したグラフです。どちらも割合の担当ですが、得意なことが違います。

【割合のグラフの使い分け】

  • 円グラフ: 1つの全体の内訳を見る
  • 帯グラフ: 帯を縦に並べて、複数の全体の内訳を比べる

ここで、冒頭の通学の話に戻りましょう。

年生徒数徒歩自転車電車
10年前300人50%30%20%
今500人40%25%35%

帯グラフに描かれるのは、右の3列の割合だけです。人数に直すと、徒歩は10年前が 300 × 0.5 = 150 人、今が 500 × 0.4 = 200 人です。つまり、割合は下がったのに、人数は50人増えたのです。

割合のグラフは、ケーキの切り分け方を見せてくれますが、ケーキの大きさは教えてくれません。ケーキ自体が大きくなれば、小さく切られた一切れのほうが、前の一切れより大きいこともあります。

そこで、量と内訳の両方を見たいときの出番が 積み上げ棒グラフ です。項目ごとの量を棒にして、その棒を内訳で区切ったグラフです。棒全体の長さで合計を、区切りの長さで内訳を読みます。

具体的に見てみましょう。あるコンビニの売上(万円)が、次のようだったとします。

月おにぎりパン飲料合計
4月30201060
5月30153580

積み上げ棒グラフにすると、合計が60万円から80万円へ伸びたことが一目で分かります。ただし、弱点もあります。一番下のおにぎりは底がそろっているので比べやすいのですが、上の段は底の位置が棒ごとに違うので、長さを目で比べにくいのです。

例題:割合のグラフから量を求める

ある店の売上は、昨年が2,000万円、今年が2,500万円でした。商品Aの構成比は、昨年の30%から今年の28%に下がりました。商品Aの売上はどう変わったでしょうか?

【解き方】

  1. 昨年のAの売上: 2,000 × 0.30 = 600
  2. 今年のAの売上: 2,500 × 0.28 = 700
  3. 差をとる: 700 − 600 = 100

答えは、100万円の増加です。構成比が下がっても、全体が増えていれば、実際の量は増えることがあります。

試験のポイント:円グラフや帯グラフの割合だけから、量の増減は判断できません。全体の量が与えられていれば、必ず掛け算をして確かめます。

以上が、内訳を見るグラフについての説明です。

多くの項目を見る:レーダーチャートとバブルチャート

続いて、たくさんの項目を一度に見せるグラフについて解説します。

レーダーチャート は、中心から放射状に伸びた軸に項目を割り当て、値の点を線で結んだグラフです。クモの巣のような形になるので、くもの巣グラフとも呼ばれます。項目ごとのバランスを、形で見せるのが得意です。

例えば、2人の5教科のテストが次のようだったとします。

国語数学英語理科社会平均
Aさん806070905070
Bさん707070707070

平均はどちらも70点です。しかし、レーダーチャートに描くと、Bさんはきれいな正五角形になり、Aさんは理科に角が突き出て社会がへこんだ形になります。得意と苦手が形で分かるのです。

ただし、注意点が2つあります。項目ごとに満点が違うときは、満点を基準に目盛りをそろえないと形に意味がなくなります。また、項目の並べ方を変えると形も変わるので、形の面積の大きさで比べてはいけません。

次に、バブルチャート です。バブルチャートは、横軸と縦軸の位置に加えて、円の大きさで3つ目の量を表すグラフです。泡が浮かんでいるように見えるので、この名前が付いています。

例えば、ラーメン店を比べるとします。横軸に待ち時間、縦軸に味の評価をとり、円の大きさを1か月の来店者数にします。すると、「待ち時間が長いのに評価が低く、それでも客が多い店」を、1枚で見つけられます。

ここがポイントです。バブルチャートでは、量を円の 面積 で表します。来店者数が4倍なら面積を4倍にするので、半径は2倍です。もし半径を4倍にしてしまうと、面積は16倍になり、差を大げさに見せてしまいます。

以上が、レーダーチャートとバブルチャートについての解説です。

値動きを見る:ローソク足

最後に、ローソク足を見ていきましょう。

ローソク足 は、株価などの1日の値動きを、ろうそくのような形1本で表すグラフです。1本の中に、次の4つの値が入っています。

【ローソク足の4つの値】

  1. 始値(はじめね): 最初についた値段
  2. 終値(おわりね): 最後についた値段
  3. 高値(たかね): 最も高い値段
  4. 安値(やすね): 最も安い値段

始値と終値の間を太い長方形で表し、これを実体と呼びます。高値と安値までは細い線を伸ばし、これをひげと呼びます。ろうそくの本体と、上下に伸びた芯のイメージです。

もう1つ大切なのが、実体の色です。

【陽線と陰線】

  • 陽線: 終値が始値より高い。1日で値上がりした。白や赤で描くことが多い
  • 陰線: 終値が始値より低い。1日で値下がりした。黒や青で描くことが多い

具体的に見てみましょう。ある株の2日間の値段(円)です。

日始値高値安値終値
1日目1,0001,0609801,040
2日目1,0401,050970990

1日目は、1,000円で始まり1,040円で終わったので陽線です。実体の長さは40円で、上のひげは1,060円まで、下のひげは980円まで伸びます。2日目は、1,040円で始まり990円で終わったので陰線です。実体の上の端が始値、下の端が終値になる点に注意しましょう。

ひげを見ると、途中の動きも分かります。2日目は970円まで下がってから、990円まで戻って終わった日です。終値だけを結んだ折れ線グラフでは、この動きは見えません。ローソク足は、1日の動きまで1本に詰め込んでいるのです。

1本で1日を表すものを日足、1週間なら週足、1か月なら月足と呼びます。

例題:ローソク足を読む

あるローソク足は陰線で、実体の上端が2,300円、下端が2,150円でした。上のひげの先は2,350円、下のひげの先は2,100円です。この日の始値、終値、高値、安値はいくらでしょうか?

【解き方】

  1. 陰線は値下がりなので、実体の上端が始値、下端が終値: 始値2,300円、終値2,150円
  2. 上のひげの先が高値: 2,350円
  3. 下のひげの先が安値: 2,100円

答えは、始値2,300円、終値2,150円、高値2,350円、安値2,100円です。

試験のポイント:陽線と陰線で、実体の上端と下端の意味が入れ替わります。先に色を確かめてから値を読みましょう。

以上が、ローソク足についての説明です。

細かい名前を忘れてしまっても問題ありません。ここでは、「グラフごとに担当があり、担当外のことは語らない」という点だけ押さえておきましょう。

今回のまとめ

それでは、今回の内容を振り返ります。

今回は1変数を中心に、グラフの見方と読み方を紹介しました。どのグラフも、見せたいものに光を当てる代わりに、別のものを隠しています。何が描かれていて何が描かれていないかを確かめると、グラフに振り回されなくなります。

今回のポイントを振り返りましょう。

振り返り

  • 棒グラフは量の大きさ、折れ線グラフは時間の変化の担当。まず目盛りを確かめる。
  • 円グラフと帯グラフはケーキの切り方を見せるが、ケーキの大きさは見せない。
  • 積み上げ棒グラフは合計と内訳を同時に見せるが、上の段は比べにくい。
  • レーダーチャートはバランスを形で、バブルチャートは3つ目の量を円の面積で見せる。
  • ローソク足は1本に始値・高値・安値・終値が入り、陽線と陰線で上下の意味が変わる。

キーワードのおさらい

  • 棒グラフ: 項目ごとの量を棒の長さで比べるグラフ
  • 折れ線グラフ: 時間による変化を線で表すグラフ
  • 円グラフ: 全体に対する内訳の割合を扇形で表すグラフ
  • 帯グラフ: 内訳の割合を帯の長さで表し、複数の全体を比べやすくしたグラフ
  • 積み上げ棒グラフ: 棒を内訳で区切り、合計と内訳を同時に表すグラフ
  • レーダーチャート: 放射状の軸に複数の項目の値をとり、線で結んだグラフ
  • バブルチャート: 縦横の位置に加えて、円の大きさで3つ目の量を表すグラフ
  • ローソク足: 始値・高値・安値・終値を1本で表すグラフ

さて、ここまでは主に1つの変数を見てきました。では、「勉強時間と得点には関係があるのか」のように、2つの変数の関係を見たいときは、どんなグラフを使えばよいでしょうか?

次回は、「2変数のグラフの見方・読み方」について紹介します。

それでは、次の記事へ進んでいきましょう。

練習問題5問開いて挑戦する
問1. ある部の部員数は昨年が40人、今年が60人だった。1年生の割合は昨年が50%、今年が40%だった。1年生の人数の変化として正しいものはどれか。
問2. 5つの科目の得点のバランスを1枚で見せるグラフとして、最も適切なものはどれか。
問3. バブルチャートで、ある店の来店者数が別の店の9倍のとき、円の半径は何倍にするのが適切か。
問4. ある日の株価は、始値1,500円、高値1,580円、安値1,470円、終値1,530円だった。この日のローソク足の説明として正しいものはどれか。
問5. 棒グラフの目盛りを0から始めず、途中の値から始めて描いたときに起きることとして、最も適切なものはどれか。