3級-5 データ分析の基本
2変数のグラフの見方・読み方
- モザイク図
- 散布図(相関図)
- 複合グラフ
はじめに
「勉強時間を増やせば、本当に点数は上がるの?」
こう思ったことはありませんか? クラスの平均勉強時間と平均点を、それぞれ棒グラフにしても、この問いには答えられません。知りたいのは、勉強時間そのものや点数そのものではなく、2つの 関係 だからです。
例えば、夏にアイスがよく売れるのは、気温と売上に関係があるからです。この関係を確かめるには、1つずつ別々に眺めるのではなく、2つを同時に見る必要があります。
実は、2つの変数を見るグラフは、変数の種類によって選ぶものが決まっています。3級の最初の記事で学んだ量的変数と質的変数の区別が、ここで役に立ちます。
そこで登場するのが、今回の主役 散布図、モザイク図、複合グラフ です。前回の記事では、主に1つの変数を見るグラフを学びました。今回の記事では、この3つのグラフの読み方と、2つの変数の関係のつかみ方について解説します。
散布図:2つの量的変数の関係を見る
はじめに、最もよく使われる散布図について解説します。
散布図(scatter plot) は、2つの量的変数の値を横軸と縦軸にとり、1人分のデータを1つの点で打ったグラフです。相関図 とも呼ばれます。
地図で考えてみましょう。横の位置が勉強時間、縦の位置が得点という地図に、生徒1人ずつをピンで留めていくイメージです。ピンの集まり方を見れば、2つの変数の関係が分かります。
具体的に見てみましょう。8人の1日の勉強時間と得点が、次のようだったとします。
| 生徒 | A | B | C | D | E | F | G | H |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 勉強時間(時間) | 1 | 2 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
| 得点(点) | 45 | 50 | 62 | 58 | 70 | 68 | 80 | 85 |
点を打つと、左下から右上へ向かう帯のような形になります。勉強時間が長い人ほど、得点が高い傾向があるということです。
点の集まり方には、3つの型があります。
【散布図の3つの型】
- 右上がり: 一方が大きいほど、もう一方も大きい。正の相関 と言う
- 右下がり: 一方が大きいほど、もう一方は小さい。負の相関 と言う
- 全体に散らばる: 一方が変わっても、もう一方の傾向は変わらない。相関がない と言う
せっかくなので、別の例も見てみましょう。気温とアイスの売上は右上がりの正の相関です。気温とおでんの売上は右下がりの負の相関です。同じ学年の生徒の足のサイズと数学の得点は、全体に散らばって相関がないと考えられます。点が細い帯に集まるほど、関係は強いと言います。関係の強さを数で表す相関係数は、後の記事で学びます。
散布図を読むときには、注意点が2つあります。
1つ目は、外れ値です。全体の帯から1つだけ離れた点は、入力の誤りかもしれませんし、特別な事情を持つデータかもしれません。散布図は、この点を見つけるのにも役立ちます。
2つ目は、まっすぐでない関係です。例えば、室温と快適さを考えてください。寒すぎても暑すぎても快適さは下がるので、点は山の形に並びます。このとき、全体を右上がりか右下がりかで分けても、関係は表せません。必ず点の形そのものを見ましょう。
例題:散布図の点を読む
先ほどの8人のデータで、勉強時間が3時間以上で、得点が60点未満の生徒は何人でしょうか? また、勉強時間が4時間以上で、得点が70点以上の生徒は何人でしょうか?
【解き方】
- 勉強時間が3時間以上の生徒は、DからHの5人
- このうち得点が60点未満なのは、Dの58点だけなので1人
- 勉強時間が4時間以上の生徒は、EからHの4人
- このうち得点が70点以上なのは、E、G、Hの3人
答えは、1人と3人です。散布図では、条件を線で区切って、その区画の点を数えると読み取れます。
試験のポイント:散布図が右上がりでも、一方が原因だとは言えません。散布図が示すのは「一緒に動く」という関係だけです。
以上が、散布図についての解説です。
モザイク図:2つの質的変数の関係を見る
次に、モザイク図について説明します。
散布図は量的変数のグラフでした。では、学年と所属する部のように、2つの質的変数の関係はどう見ればよいでしょうか? ここでモザイク図の出番です。
モザイク図 は、全体を1つの正方形として、まず横に一方の変数の比率で切り、次に切った列ごとに縦にもう一方の変数の比率で切ったグラフです。チョコレートの板を、割合に合わせて切り分けていくイメージです。
具体的に見てみましょう。ある学校の1年生と2年生の所属を調べました。
| 学年 | 運動部 | 文化部 | 帰宅部 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 1年 | 24 | 10 | 6 | 40 |
| 2年 | 21 | 18 | 21 | 60 |
モザイク図は、次の手順で作ります。
【モザイク図の作り方】
- 横幅を学年の人数の比率で分ける: 1年は40%、2年は60%
- 列ごとに、高さを所属の比率で分ける: 1年は運動部60%・文化部25%・帰宅部15%、2年は運動部35%・文化部30%・帰宅部35%
できあがった図の読み方は、次の3つです。
【モザイク図の読み方】
- 列の幅: その学年の人数の多さ
- 区画の高さ: その学年の中での比率
- 区画の面積: その組み合わせの人数の多さ
1年の運動部の区画は、幅が0.4で高さが0.6なので、面積は 0.4 × 0.6 = 0.24 です。全体の100人のうち24人という値と一致します。面積が人数に比例するので、どの組み合わせが多いかを一目で比べられます。
ここがポイントです。もし学年と所属に関係がなければ、どの列でも区切りの高さはそろい、横線がまっすぐ通ります。この例では、1年の運動部の高さは60%、2年は35%で線が段になっているので、学年と所属には関係があると読み取れます。
では、前回の帯グラフとの違いは何でしょうか? 帯グラフは帯の長さがそろっているので、全体の人数の違いは消えてしまいます。モザイク図は、列の幅で人数の違いまで残しているのです。
例題:モザイク図を読む
ある調査の200人を表すモザイク図で、A地区の列の幅は30%、B地区の列の幅は70%でした。「はい」の区画の高さは、A地区が40%、B地区が20%です。「はい」と答えた人は全体で何人でしょうか?
【解き方】
- A地区の人数: 200 × 0.3 = 60、「はい」は 60 × 0.4 = 24
- B地区の人数: 200 × 0.7 = 140、「はい」は 140 × 0.2 = 28
- 合計する: 24 + 28 = 52
答えは52人です。高さだけを見ると「はい」はA地区のほうが高いのですが、人数ではB地区のほうが多いことに注目しましょう。
試験のポイント:モザイク図は、幅と高さの両方を掛けて読みます。高さが大きい区画の人数が多いとは限りません。
以上が、モザイク図についての説明です。
複合グラフ:単位の違う2つの量を重ねる
続いて、複合グラフについて解説します。
複合グラフ は、棒グラフと折れ線グラフのように、種類の違うグラフを1つに重ねたグラフです。4級でも登場しました。3級では、2つの変数の関係を読むために使います。
単位の違う2つの量を、同じ横軸の上で比べられるのが強みです。そのために、左の縦軸と右の縦軸で別の目盛りを使います。
代表的な例が、雨温図です。月を横軸に、降水量を棒で、気温を折れ線で描いたものです。「気温が高い時期に雨が多い」といった関係が、1枚で読み取れます。
でも、これには弱点があります。左と右の目盛りは、描く人が自由に決められます。右の目盛りの幅を変えるだけで、線は棒より上にも下にも動きます。したがって、「線が棒を追い越した」「2つが交わった」といった見た目に意味はありません。
別々の体重計に乗った2人を比べて、針の角度が同じだと言っているようなものです。読むときは、どちらの目盛りで読む線なのかを必ず確かめます。
例題:複合グラフから値を求める
ある店の3か月の客数を棒グラフ(左の目盛り)に、客単価を折れ線グラフ(右の目盛り)に描いた複合グラフから、次の値を読み取りました。売上が最も大きいのは何月でしょうか?
| 月 | 客数(人) | 客単価(円) |
|---|---|---|
| 1月 | 500 | 800 |
| 2月 | 400 | 1,100 |
| 3月 | 600 | 700 |
【解き方】
- 売上は客数と客単価の積で求める
- 1月: 500 × 800 = 400,000
- 2月: 400 × 1,100 = 440,000
- 3月: 600 × 700 = 420,000
答えは2月です。客数が最も少ない月の売上が最も大きいという結果は、棒だけを見ても、線だけを見ても分かりません。2つを合わせて読むのが、複合グラフの使い方です。
試験のポイント:複合グラフは、棒と線がどちらの軸に対応するかを最初に確認します。2本の軸の間で、高さや交点を比べてはいけません。
以上が、複合グラフについての解説です。
2変数のグラフの選び方
最後に、変数の種類に合わせたグラフの選び方を見ていきましょう。
ここまでの内容を整理すると、次のようになります。
| 知りたいこと | 変数の組み合わせ | グラフ | 見るところ |
|---|---|---|---|
| 2つの量の関係 | 量的 × 量的 | 散布図 | 点の並ぶ向きと広がり |
| 2つの種類の関係 | 質的 × 質的 | モザイク図 | 区切りの段差と面積 |
| 時間に沿った2つの量の動き | 時間 × 単位の違う量 | 複合グラフ | 軸ごとの増減 |
例題:グラフを選ぶ
次の2つの関係を見たいとき、どのグラフが適切でしょうか?
A. 30人の身長と体重の関係
B. 地域(4つ)と、好きな麺の種類(うどん・そば・ラーメン)の関係
【考え方】
- Aは、身長も体重も量的変数なので、散布図
- Bは、地域も麺の種類も質的変数なので、モザイク図
答えは、Aが散布図、Bがモザイク図です。迷ったときは、まず2つの変数が量的か質的かを確かめます。
要するに、グラフを選ぶ出発点は、見た目の好みではなく変数の種類です。
以上が、2変数のグラフの選び方についての説明です。
細かい作り方を忘れてしまっても問題ありません。ここでは、「量的同士は散布図、質的同士はモザイク図」という点だけ押さえておきましょう。
今回のまとめ
それでは、今回の内容を振り返ります。
今回は2つの変数の関係を見るグラフについて紹介しました。1つずつ眺めていては見えなかった関係も、2つを同じ場所に置くと見えてきます。ただし、見えるのは「一緒に動く」という事実までで、なぜ動くのかはグラフだけでは分かりません。
今回のポイントを振り返りましょう。
振り返り
- 散布図は2つの量的変数の地図。右上がりは正の相関、右下がりは負の相関。
- モザイク図は2つの質的変数のチョコレート。幅と高さを掛けた面積が人数を表す。
- 複合グラフは単位の違う量を重ねるが、左右の軸をまたいで比べてはいけない。
- グラフは変数の種類で選ぶ。
キーワードのおさらい
- 散布図(相関図): 2つの量的変数の値を点で打ったグラフ
- 正の相関: 一方が大きいほど、もう一方も大きい傾向
- 負の相関: 一方が大きいほど、もう一方は小さい傾向
- モザイク図: 2つの質的変数の比率を、幅と高さで切り分けて表すグラフ
- 複合グラフ: 種類の違うグラフを重ね、2本の縦軸で表すグラフ
さて、ここまではデータをグラフで見てきました。次は、グラフの元になる集計の番です。4級で学んだ度数分布表から、平均などの統計量を計算する方法も身につけましょう。
次回は、「1変数データの集計」について紹介します。
それでは、次の記事へ進んでいきましょう。