3級-6 データ分析の基本
1変数データの集計 — 度数分布表
- 度数分布表
- 度数
- 相対度数
- 累積度数
- 累積相対度数
- 階級
- 階級値
- 度数分布表からの統計量の求め方
はじめに
「元のデータが手元にないのに、平均なんて計算できるの?」
統計の資料には、一人ひとりの値ではなく、「10分以上20分未満が6人」のように、まとめられた表だけが載っていることがよくあります。こう言われると、1人ずつの値が分からないのに平均を出すのは無理だと感じますよね。
実は、まとめた表からでも、平均や中央値のだいたいの値を求めることができます。少し工夫すると、表だけで全体の様子がほとんど分かるのです。
そこで登場するのが、今回の主役 度数分布表 です。4級では、データを階級に分けて数える方法を学びました。前回の記事では、2つの変数を見るグラフを学びました。今回の記事では、度数分布表の作り方を短く確かめたうえで、3級で問われる計算である 度数分布表からの統計量の求め方 について解説します。
度数分布表を作る
はじめに、度数分布表の作り方について解説します。
まず、言葉を思い出しましょう。量的変数のデータを、区切りごとに数えてまとめた表が度数分布表です。
【度数分布表の用語】
- 階級: データを分ける区間。「10分以上20分未満」など
- 階級の幅: 階級の上の端と下の端の差
- 階級値: 階級の真ん中の値。10分以上20分未満なら15分
- 度数: その階級に入るデータの個数
郵便局の仕分けをイメージしてください。バラバラの手紙を、地域ごとの棚に入れて、棚ごとの数を数えます。棚が階級で、棚の中の手紙の数が度数です。
具体的に見てみましょう。20人の通学時間(分)が、次のようだったとします。
6, 8, 9, 12, 13, 15, 16, 18, 19, 21, 22, 24, 25, 26, 28, 29, 33, 36, 38, 47
【度数分布表の作り方】
- 最小値と最大値を確かめる: 最小値は6、最大値は47
- 階級の幅を決める: 全体が収まるように、ここでは10分にする
- 階級を並べる: 0以上10未満、10以上20未満……40以上50未満
- 階級ごとに個数を数える
できあがった表が、次のものです。
| 階級(分) | 階級値 | 度数 |
|---|---|---|
| 0以上10未満 | 5 | 3 |
| 10以上20未満 | 15 | 6 |
| 20以上30未満 | 25 | 7 |
| 30以上40未満 | 35 | 3 |
| 40以上50未満 | 45 | 1 |
| 合計 | 20 |
ちょうど境目の値に注意しましょう。「以上〜未満」で区切るので、20分の人がいれば「20以上30未満」に入ります。どの値も、必ず1つの階級だけに入るようにします。
階級の幅を細かくしすぎると、度数が0や1ばかりの表になります。逆に、粗くしすぎると、全部が1つの棚に入って何も分かりません。全体の形が読み取れる幅を選びます。
以上が、度数分布表の作り方についての解説です。
相対度数と累積度数
次に、度数を加工した3つの値について説明します。
度数だけでは、人数の違うクラスを比べることができません。そこで、度数を割合や積み上げに直します。
【度数から作る3つの値】
- 相対度数: 度数を合計で割った割合
- 累積度数: その階級までの度数を足し上げた値
- 累積相対度数: その階級までの相対度数を足し上げた値
公式で書くと、相対度数は次のようになります。
例えば、10以上20未満の階級は、度数が6で合計が20なので、6 ÷ 20 = 0.30 です。全体の30%がこの階級に入るという意味です。
累積度数は、マラソンのゴール地点で数える人のイメージです。「20分までに何人ゴールしたか」を足し上げていく値だと考えてください。
先ほどの表に加えると、次のようになります。
| 階級(分) | 度数 | 相対度数 | 累積度数 | 累積相対度数 |
|---|---|---|---|---|
| 0以上10未満 | 3 | 0.15 | 3 | 0.15 |
| 10以上20未満 | 6 | 0.30 | 9 | 0.45 |
| 20以上30未満 | 7 | 0.35 | 16 | 0.80 |
| 30以上40未満 | 3 | 0.15 | 19 | 0.95 |
| 40以上50未満 | 1 | 0.05 | 20 | 1.00 |
| 合計 | 20 | 1.00 |
累積の列を見ると、「ある値より小さい人」がすぐに読めます。例えば、通学時間が20分未満の人は、累積度数の9人です。30分以上の人は、全体から30分未満の16人を引いて、20 − 16 = 4 人です。
表が正しいかどうかは、次の3点で確かめられます。
【検算の3点】
- 度数の合計はデータの個数と一致する
- 相対度数の合計は1になる
- 累積度数の最後は度数の合計、累積相対度数の最後は1になる
例題:欠けた値を埋める
50人の身長の度数分布表で、次のように一部が欠けています。アとイに入る値を求めましょう。
| 階級(cm) | 階級値 | 度数 | 累積相対度数 |
|---|---|---|---|
| 140以上150未満 | 145 | 4 | 0.08 |
| 150以上160未満 | 155 | ア | 0.28 |
| 160以上170未満 | 165 | 18 | イ |
| 170以上180未満 | 175 | 12 | 0.88 |
| 180以上190未満 | 185 | 6 | 1.00 |
【解き方】
- 累積相対度数の増え方を見る: 0.28 − 0.08 = 0.20
- 度数に戻す: 50 × 0.20 = 10 なので、アは10
- 次の階級の相対度数を足す: 18 ÷ 50 = 0.36、0.28 + 0.36 = 0.64 なので、イは0.64
答えは、アが10、イが0.64です。度数の合計から 50 − 4 − 18 − 12 − 6 = 10 と求めても、同じ値になります。
試験のポイント:累積相対度数は、隣どうしの差をとると相対度数に戻ります。この差に合計を掛ければ度数が求められます。
以上が、相対度数と累積度数についての説明です。
度数分布表から統計量を求める
最後に、度数分布表から統計量を求める方法を見ていきましょう。これが今回の山場です。
考え方は1つだけです。「階級の中の人は、全員が階級値の値だったと見なす」のです。棚の中の手紙の重さが分からないので、棚に書いてある代表の重さで全部を計算するイメージです。
1つずつ見ていきましょう。
1. 平均値
階級値に度数を掛けて足し合わせ、度数の合計で割ります。公式で書くと、次のようになります。
記号の意味は、 が平均値、 が度数の合計、 が階級の数、 が 番目の階級値、 が 番目の度数です。 は、 を1から まで動かして足し合わせるという記号です。
言葉で言うと、「階級値 × 度数」を全部足して、人数で割るということです。
通学時間の表で計算してみましょう。
| 階級値 | 度数 | 階級値 × 度数 |
|---|---|---|
| 5 | 3 | 15 |
| 15 | 6 | 90 |
| 25 | 7 | 175 |
| 35 | 3 | 105 |
| 45 | 1 | 45 |
| 合計 | 20 | 430 |
430 ÷ 20 = 21.5 なので、平均値は21.5分です。
ここで、元のデータで平均を計算すると、合計は445なので、445 ÷ 20 = 22.25 分です。度数分布表からの値は、階級の中身を階級値で置きかえているので、元のデータの平均とは少しズレます。度数分布表の平均は近似値だと覚えておきましょう。
2. 相対度数から求める平均値
相対度数の表しかないときは、階級値に相対度数を掛けて足し合わせるだけで平均値が求められます。人数で割る手間が、すでに相対度数の中に入っているからです。
は 番目の相対度数です。通学時間なら、5 × 0.15 + 15 × 0.30 + 25 × 0.35 + 35 × 0.15 + 45 × 0.05 = 21.5 で、同じ値になります。
3. 中央値
中央値そのものは表から分かりませんが、中央値が入る階級は分かります。累積相対度数が初めて0.5以上になる階級です。
通学時間の表では、累積相対度数が0.45から0.80へと0.5をまたぐので、中央値は20以上30未満の階級に入ります。元のデータの中央値は21.5分なので、確かにこの階級の中にあります。階級値で答えるなら、25分です。
4. 最頻値
度数が最も大きい階級の階級値が最頻値です。通学時間の表では、度数が7の20以上30未満の階級なので、最頻値は25分です。答えは7ではなく25です。
例題:相対度数から平均値を求める
ある店の客の買い物金額について、次の相対度数が分かっています。平均値を求めましょう。
| 階級値(円) | 500 | 700 | 900 | 1,100 |
|---|---|---|---|---|
| 相対度数 | 0.1 | 0.3 | 0.4 | 0.2 |
【解き方】
- 階級値と相対度数を掛ける: 50、210、360、220
- すべて足す: 50 + 210 + 360 + 220 = 840
答えは840円です。相対度数の合計が1であることも確かめておきましょう。
試験のポイント:平均値は「階級値 × 度数」の合計を人数で割ります。階級の幅や度数だけを足す間違いが多いので、表に1列足して計算すると確実です。
補足(ここは読み飛ばしてOK): 分散や標準偏差も同じ発想で、階級値を使って計算します。分散は後の記事で学びます。
以上が、度数分布表からの統計量の求め方についての説明です。
細かい公式を忘れてしまっても問題ありません。ここでは、「階級の中の人は全員が階級値だと見なす」という点だけ押さえておきましょう。
今回のまとめ
それでは、今回の内容を振り返ります。
今回は度数分布表の作り方と、そこから統計量を求める方法について紹介しました。元のデータがなくても、棚の代表の値を使えば、平均値や中央値の見当がつきます。その代わりに、値は近似になるという点を忘れないことが大切です。
今回のポイントを振り返りましょう。
振り返り
- 度数分布表は棚の仕分け。階級が棚で、度数が棚の中の個数。
- 相対度数は割合、累積度数と累積相対度数はその階級までの足し上げ。
- 平均値は「階級値 × 度数」の合計を人数で割る。元のデータの平均の近似値になる。
- 中央値は累積相対度数が初めて0.5以上になる階級、最頻値は度数が最も大きい階級の階級値で見る。
キーワードのおさらい
- 度数分布表: データを階級に分けて度数をまとめた表
- 度数: 階級に入るデータの個数
- 相対度数: 度数を度数の合計で割った割合
- 累積度数: その階級までの度数を足し上げた値
- 累積相対度数: その階級までの相対度数を足し上げた値
- 階級: データを分ける区間
- 階級値: 階級の真ん中の値
- 度数分布表からの統計量の求め方: 階級の中の値をすべて階級値と見なして計算する方法
さて、今回まとめたのは変数1つのデータでした。では、部活と朝食の習慣のように、2つの項目を一緒に数えたいときは、どんな表を作ればよいでしょうか?
次回は、「2変数データの集計」について紹介します。
それでは、次の記事へ進んでいきましょう。