統計学 学習ノート

統計検定の4級から1級まで、出題範囲の順に記事と練習問題で学ぶ

4級-10 データの読み方の基礎

クロス集計表 — 2つの項目を同時に見る

  • クロス集計表(2次元の度数分布表)
  • 行比率
  • 列比率

はじめに

「1年生と2年生で、部活の入り方ってちがうのかな?」

学校の先生が、こんな疑問を持ったとしましょう。アンケートを取ると、運動部に入っている生徒は1年生が36人、2年生が16人でした。無所属の生徒は1年生が9人、2年生が14人でした。この数字を見て、「運動部は1年生のほうが2倍以上多い!」と言ってよいでしょうか?

実は、これだけでは判断できません。もし1年生の人数が2年生よりずっと多ければ、どの部活でも1年生の人数のほうが多くなるのは当たり前だからです。

これまでの記事では、点数なら点数、身長なら身長というように、1つの項目のデータを見てきました。でも、世の中で知りたいことの多くは、「学年と部活」「天気と売上」のように、2つの項目の関係です。

そこで登場するのが、今回の主役 クロス集計表 です。クロス集計表は、2つの項目を縦と横に組み合わせて数えた表です。

前回の記事では、箱ひげ図でグループを比べる方法を学びました。今回の記事では、クロス集計表の見方と、そこから関係を読み取るための 行比率 と 列比率 について解説します。

クロス集計表:2つの項目を同時に数える

はじめに、クロス集計表の作り方と見方について解説します。

クロス集計表(cross table) は、2つの項目の組み合わせごとに度数を数えて、表にまとめたものです。度数分布表の記事では1つの項目を階級で数えましたが、クロス集計表はそれを2つの項目に広げた形です。そのため、2次元の度数分布表 とも呼ばれます。

イメージは、靴箱です。靴箱の棚は、縦に「学年」、横に「部活」の札が付いていて、生徒が1人ずつ、自分に当てはまる1マスへカードを入れていきます。全員が入れ終わったあとで、マスごとにカードの枚数を数えれば、クロス集計表の完成です。

具体的に見てみましょう。ある中学校の1年生と2年生、合わせて100人に、部活を聞いた結果です。

学年運動部文化部無所属合計
1年生3615960
2年生16101440
合計522523100

表の見方はシンプルです。横の並びを 行、縦の並びを 列 と呼びます。「1年生」の行と「運動部」の列が交わるマスの36は、「1年生で運動部の生徒が36人」という意味です。

いちばん右の列と、いちばん下の行には、合計が入っています。ここを見ると、1年生は60人、2年生は40人で、そもそも人数が違うことが分かります。運動部全体は52人、全体の人数は100人です。

補足(ここは読み飛ばしてOK): 「行」と「列」は、漢字で覚えられます。「行」の右側には横の線が2本あり、「列」の右側の「リ」には縦の線が2本あります。

合計を確かめるのも大切です。各行の数を足せば右端の合計に、各列の数を足せば下端の合計になります。どちらから足しても、右下の総数の100に行き着きます。試験で空欄を埋める問題は、この性質を使って解きます。

以上が、クロス集計表の見方についての解説です。

行比率:行の合計を100%にする

次に、行比率について説明します。

人数の違うグループを比べるときに、度数のままでは不公平です。人数の多いクラスと少ないクラスで、忘れ物の件数をそのまま比べても、どちらがうっかりしているのかは分からないのと同じです。そこで、割合にそろえて比べます。

行比率 は、それぞれの度数を、その行の合計で割った割合です。

行比率=そのマスの度数その行の合計\text{行比率} = \frac{\text{そのマスの度数}}{\text{その行の合計}}

要するに、「この行の人たちを100%としたとき、それぞれ何%か」ということです。

1年生の行で計算してみましょう。運動部は 36 ÷ 60 = 0.6 なので60%です。同じように2年生の行も計算すると、次の表になります。

学年運動部文化部無所属合計
1年生60%25%15%100%
2年生40%25%35%100%

ここがポイントです。度数で見ると、文化部は1年生が15人、2年生が10人で、1年生のほうが多く見えました。ところが、行比率で見ると、どちらも25%で同じです。人数の差は、学年全体の人数の差にすぎなかったのです。

一方で、無所属は度数でも2年生のほうが多いのですが、比率で見ると15%と35%で、差がはっきりします。「2年生になると運動部をやめて無所属になる人が多いのかな?」という次の問いも生まれますね。

行比率は、帯グラフとも相性がよいです。1年生と2年生の帯を1本ずつ描くと、そのまま行比率の比較になります。

以上が、行比率についての説明です。

列比率:列の合計を100%にする

続いて、列比率について解説します。

列比率 は、それぞれの度数を、その列の合計で割った割合です。

列比率=そのマスの度数その列の合計\text{列比率} = \frac{\text{そのマスの度数}}{\text{その列の合計}}

今度は、「この列の人たちを100%としたとき、それぞれ何%か」を見ます。

運動部の列で計算してみましょう。運動部は全体で52人、そのうち1年生は36人なので、36 ÷ 52 = 約0.692 で約69.2%です。すべての列を小数第1位まで計算すると、次の表になります。

学年運動部文化部無所属
1年生69.2%60.0%39.1%
2年生30.8%40.0%60.9%
合計100%100%100%

この表が答えてくれるのは、「運動部にいる生徒のうち、何%が1年生か」という問いです。部活の顧問の先生が「うちの部員の学年の内訳は?」と知りたいときは、こちらの出番です。

同じ36人でも、割る数が違えば、意味も数字も変わります。

【36人の2つの読み方】

  • 行比率60%: 1年生のうち、60%が運動部
  • 列比率約69.2%: 運動部のうち、約69.2%が1年生

「AのうちのB」と「BのうちのA」は別物です。「のうち」の前に来るほうが、割る数、つまり100%にする側です。

試験のポイント:「〜のうち何%か」と聞かれたら、「〜」の合計で割ります。「〜」が行にあれば行比率、列にあれば列比率です。

以上が、列比率についての解説です。

行比率と列比率を使い分ける

最後に、2つの比率の使い分けを見ていきましょう。

結論から言うと、どちらが正しいということはありません。問いによって決まります。比べたいグループのそれぞれを100%にするのが基本です。

せっかくなので、別の例も見てみましょう。ある町の100日分の天気予報と、実際の天気を集計しました。

予報実際に雨実際は雨なし合計
雨の予報24630
雨なしの予報76370
合計3169100

「雨の予報が出た日に、本当に雨が降ったのはどれくらいか」を知りたいなら、雨の予報の行を100%にします。24 ÷ 30 = 0.8 で、行比率は80%です。雨なしの予報の行では 7 ÷ 70 = 0.1 で、雨が降ったのは10%です。傘を持つかどうかを考えるなら、こちらの見方ですね。

一方で、「実際に降った雨のうち、どれくらいを予報できていたか」を知りたいなら、実際に雨の列を100%にします。24 ÷ 31 = 約0.774 で、列比率は約77.4%です。同じ24日でも、問いが変われば見る比率が変わるのです。

また、行比率がすべての行でほぼ同じなら、2つの項目には関係が見られないと考えます。今回の天気予報では80%と10%で大きく違うので、予報と実際の天気には関係があると読み取れます。

補足(ここは読み飛ばしてOK): 関係があるからといって、一方が原因でもう一方が結果だとは限りません。この点は3級の「相関と因果」で学びます。

例題:クロス集計表を読み取る

あるコンビニで売れたコーヒー200杯を、時間帯と種類で集計しました。

時間帯ホットアイス合計
午前7248120
午後28ア80
合計100100200

アに入る数と、午前と午後のホットの割合を求めましょう。また、ホットのうち午前に売れた割合はいくらでしょうか?

【解き方】

  1. アを求める: 午後の行の合計が80なので、80 − 28 = 52
  2. 午前のホットの割合を求める: 午前の行の合計で割るので行比率。72 ÷ 120 = 0.6 で60%
  3. 午後のホットの割合を求める: 28 ÷ 80 = 0.35 で35%
  4. ホットのうち午前の割合を求める: ホットの列の合計で割るので列比率。72 ÷ 100 = 0.72 で72%

答えは、アが52、午前のホットの割合が60%、午後のホットの割合が35%、ホットのうち午前の割合が72%です。午前のほうがホットを選ぶ人の割合が高いと分かります。

試験のポイント:グループの人数が違うときは、度数のままではなく比率で比べます。

以上が、行比率と列比率の使い分けについての解説です。

細かい計算を忘れてしまっても問題ありません。ここでは、「どちらを100%にするかで、答えている問いが変わる」という点だけ押さえておきましょう。

今回のまとめ

それでは、今回の内容を振り返ります。

今回は2つの項目を同時に見るクロス集計表と、行比率、列比率について紹介しました。クロス集計表で大切なのは、度数をそのまま比べないことです。何を100%にするのかを決めてはじめて、2つの項目の関係が見えてきます。

今回のポイントを振り返りましょう。

振り返り

  • クロス集計表は、2つの項目の組み合わせごとに度数を数えた表。靴箱にカードを入れるイメージ。
  • グループの人数が違うときは、度数ではなく比率で比べる。
  • 行比率は行の合計を100%に、列比率は列の合計を100%にする。
  • 「AのうちのB」と「BのうちのA」は別物。「のうち」の前が100%の側。
  • どちらの比率を使うかは、問いによって決まる。

キーワードのおさらい

  • クロス集計表(2次元の度数分布表): 2つの項目の組み合わせごとに度数をまとめた表
  • 行: 表の横の並び
  • 列: 表の縦の並び
  • 行比率: 度数をその行の合計で割った割合
  • 列比率: 度数をその列の合計で割った割合

さて、クロス集計表は「グループの違い」を見る道具でした。では、「時間がたつと、データはどう変わるのか」を知りたいときは、どう見ればよいでしょうか?

次回は、時間とともに変わるデータを読み解く「時系列データ」について紹介します。

それでは、次の記事へ進んでいきましょう。

練習問題5問開いて挑戦する
問1. ある学校で、男子50人のうち20人、女子30人のうち18人が「犬が好き」と答えた。男子の行で見た「犬が好き」の行比率として正しいものはどれか。
問2. 「犬が好き」と答えた人が合計で40人おり、そのうち女子が10人だった。「犬が好き」の列における女子の列比率として正しいものはどれか。
問3. あるクロス集計表で、A町の行は「賛成 30、反対 20、合計 50」、B町の行は「賛成 45、反対 45、合計 90」だった。賛成の割合についての説明として正しいものはどれか。
問4. 「サッカー部の部員のうち80%が2年生である」という文から言えることとして、最も適切なものはどれか。
問5. 2つの地域のグループの人数が大きく異なるとき、クロス集計表で地域ごとの回答の傾向を比べる方法として、最も適切なものはどれか。