4級-2 データの読み方の基礎
データの種類 — 量的データと質的データ
- 量的データ
- 質的データ
はじめに
「血液型の平均って、計算できるの?」
少し変な質問に聞こえるかもしれません。A型とO型を足して2で割る、なんてことはできませんよね。
では、出席番号はどうでしょうか? 5人の出席番号が 3、8、12、17、25 だったとします。これは数字なので、平均を計算できます。足して5で割れば13です。でも、「このグループの出席番号の平均は13です」と言われても、何も分かりません。13番の人が中心人物というわけでもないのです。
実は、データには種類があります。そして、種類によって、できる計算と使えるグラフが変わります。見た目が数字かどうかは、判断の決め手になりません。
そこで登場するのが、今回の主役 量的データ と 質的データ です。データの世界を大きく2つに分ける、最初の分かれ道です。
前回の記事では、PPDACサイクルで問題を解決する流れを見ました。今回の記事では、その Data の段階で集めたデータがどちらの種類なのかを見分ける方法と、種類に応じた扱い方について解説します。
量的データ:数で測れるデータ
はじめに、量的データについて解説します。
量的データ は、大きさや量を数で測ったデータです。例えば、次のようなものがあります。
【量的データの例】
- 身長(cm)、体重(kg)
- テストの点数(点)
- 1か月のお小遣い(円)
- 1日の最高気温(℃)
- ラーメン店の1日の来店者数(人)
量的データのイメージは「ものさし」です。ものさしの目盛りを読むように、値どうしの大きさの差に意味があります。身長が160cmの人と150cmの人なら、「10cm高い」と言えますよね。
見分ける目安の1つが単位です。cm、kg、円、分のような単位が付くデータの多くは、量的データです。
もう1つの特徴は、足し算や平均が意味を持つことです。3日間の来店者数が50人、70人、60人なら、合計は180人で、1日あたりの平均は60人です。「1日に60人くらい来るお店」と言えるので、計算した値にちゃんと意味があります。
補足(ここは読み飛ばしてOK): 量的データは、さらに2つに分けられます。人数のように1人、2人と飛び飛びの値をとるものと、身長のようにいくらでも細かく測れるものです。上の級で詳しく学びます。
以上が、量的データについての解説です。
質的データ:種類を表すデータ
次に、質的データについて説明します。
質的データ は、種類やグループを表すデータです。「どれに当てはまるか」を記録したものだと考えてください。
【質的データの例】
- 血液型(A型、B型、O型、AB型)
- 好きな給食(カレー、揚げパン、ラーメン)
- 通学方法(徒歩、自転車、バス)
- 住んでいる都道府県
- 天気(晴れ、くもり、雨)
質的データのイメージは「仕分け箱」です。「徒歩」「自転車」「バス」と書かれた箱を並べて、1人ずつどれかの箱に入れていくようなものです。箱どうしに、足し算や引き算はできません。徒歩と自転車を足しても、何にもなりませんよね。
では、質的データでは何ができるのでしょうか? 答えは「数える」ことです。それぞれの箱に何人入ったかを数えて、人数や割合で全体の様子をつかみます。
具体的に見てみましょう。40人のクラスで血液型を調べて、箱ごとに数えた結果が次の表です。
| 血液型 | A型 | O型 | B型 | AB型 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 人数 | 16 | 12 | 8 | 4 | 40 |
| 割合 | 40% | 30% | 20% | 10% | 100% |
割合は、人数を全体の人数で割って求めます。A型なら、16 ÷ 40 = 0.4 なので40%です。
この表を見れば、「このクラスはA型が一番多く、全体の4割を占める」と言えます。血液型そのものは計算できなくても、数えた人数なら計算できるというわけです。
以上が、質的データについての説明です。
数字のワナ:足し算に意味があるかで見分ける
続いて、見分け方について解説します。ここが今回の山場です。
「数字で書いてあれば量的データ、言葉で書いてあれば質的データ」と考えたくなりますが、これは間違いです。
冒頭の出席番号を思い出してください。出席番号は数字で書かれていますが、中身は名前の代わりです。8番の人が3番の人より「5だけ大きい」わけではありません。つまり、出席番号は質的データです。
同じように、次のものは数字で書かれていても質的データです。
【数字で書かれた質的データ】
- 出席番号、学籍番号
- 背番号
- 郵便番号、電話番号
スポーツチームの背番号を思い浮かべてみましょう。背番号10の選手は、背番号5の選手の2倍すごいわけではありません。番号は、選手を区別する名札にすぎないのです。
見分けるコツは、次の質問をすることです。
【見分け方】
- 足し算や平均に意味がある: 量的データ
- 足し算や平均に意味がない: 質的データ
せっかくなので、別の例も見てみましょう。かけっこの順位や、「とても満足、満足、ふつう、不満、とても不満」の5段階評価はどうでしょうか?
順位には「1位のほうが2位より速い」という順番があります。でも、1位と2位の差と、2位と3位の差が同じとは限りません。1位と2位は0.1秒差で、2位と3位は3秒差かもしれないのです。値の間隔がそろっていないので、順位や段階の評価は質的データとして扱います。
試験のポイント:出席番号、背番号、順位、段階の評価は、数字で表されていても質的データです。
例題:データの種類を見分ける
ある中学校で、生徒の情報を次の表にまとめました。量的データはどの項目でしょうか?
| 出席番号 | 通学時間 | 通学方法 | 部活 | 握力 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 15分 | 徒歩 | 野球 | 32kg |
| 2 | 25分 | バス | 美術 | 24kg |
| 3 | 10分 | 自転車 | 吹奏楽 | 27kg |
【解き方】
- 出席番号: 平均に意味がないので、質的データ
- 通学時間: 平均に意味があるので、量的データ
- 通学方法と部活: 種類を表すので、質的データ
- 握力: 平均に意味があるので、量的データ
答えは通学時間と握力です。
以上が、見分け方についての解説です。
種類によって扱い方が変わる
最後に、データの種類ごとの扱い方を見ていきましょう。
ここまでの内容を、次の表にまとめます。
| 量的データ | 質的データ | |
|---|---|---|
| 表しているもの | 大きさや量 | 種類やグループ |
| 例 | 身長、点数、気温 | 血液型、通学方法、背番号 |
| 基本の作業 | 計算する | 数える |
| まとめ方 | 平均値、度数分布表 | 人数、割合 |
| 向いているグラフ | ヒストグラム | 棒グラフ、円グラフ、帯グラフ |
まとめ方やグラフの名前は、この先の記事で1つずつ学びます。今は「種類が決まると、使う道具が決まる」という点を押さえてください。のこぎりでネジを回せないように、データにも合う道具と合わない道具があります。
もう1つ、覚えておくと便利なことがあります。量的データは、区切りを決めれば質的データに変えられます。
例えば、テストの点数は量的データです。でも、60点以上を「合格」、60点未満を「不合格」と分ければ、質的データになります。年齢を「10代、20代、30代」と分けるのも同じです。
ただし、逆はできません。「合格」とだけ記録したデータから、元の点数は復元できないのです。データを集めるときは、なるべく細かい形で記録しておくと、後で困りません。
例題:質的データを割合で読み取る
50人に通学方法を聞いたところ、徒歩が20人、自転車が15人、バスが10人、電車が5人でした。自転車の割合はいくらでしょうか?
【解き方】
- 通学方法は質的データなので、数えた人数で考える
- 自転車の人数を全体の人数で割る: 15 ÷ 50 = 0.3
- 百分率にする: 0.3 × 100 = 30
答えは30%です。
試験のポイント:質的データでは、平均値は求められません。人数や割合で全体をつかみます。
以上が、データの種類ごとの扱い方についての説明です。
今回のまとめ
それでは、今回の内容を振り返ります。
今回はデータを2つに分ける、量的データと質的データについて紹介しました。ものさしで測るデータなのか、仕分け箱に入れるデータなのか。この判断が、分析の最初の一歩です。見た目が数字かどうかではなく、「足し算や平均に意味があるか」で見分けましょう。
今回のポイントを振り返りましょう。
振り返り
- 量的データは「ものさし」。値の大きさに意味があり、足し算や平均ができる。
- 質的データは「仕分け箱」。種類を表し、数えて人数や割合でつかむ。
- 出席番号や背番号は、数字でも質的データ。順位や段階の評価も質的データとして扱う。
- 量的データは、区切りを決めれば質的データに変えられる。逆はできない。
キーワードのおさらい
- 量的データ: 大きさや量を数で測ったデータ
- 質的データ: 種類やグループを表すデータ
さて、データの種類が分かったところで、次はデータの集め方に戻ります。全国の中学生の気持ちを知りたいとき、全員に聞いて回るのはさすがに大変ですよね。
次回は、一部を調べて全体を知る「標本調査」について紹介します。
それでは、次の記事へ進んでいきましょう。