4級-4 データの読み方の基礎
統計グラフの見方・読み方
- ドットプロット
- 絵グラフ
- 棒グラフ
- 折れ線グラフ
- 円グラフ
- 帯グラフ
- 面グラフ
- 積み上げ棒グラフ
- パレート図
- 複合グラフ
はじめに
「グラフなんて、見れば分かるでしょ?」
たしかに、グラフはデータを一目で伝えるための道具です。でも、1年間の気温の変化を円グラフにしたら、どうなるでしょうか? 12か月分の扇形が並ぶだけで、暑くなったのか寒くなったのか、さっぱり分かりませんよね。
のこぎりでネジは回せません。工具にそれぞれの役割があるように、グラフにも得意なことと苦手なことがあります。
実は、グラフを選ぶ基準は、たった1つです。それは、「何を見せたいのか」です。大きさを比べたいのか、変化を見たいのか、割合を見たいのかで、使うグラフが決まります。
そこで登場するのが、今回の主役 統計グラフ です。統計グラフとは、データの特徴が伝わるように、数値を図で表したものです。
前回の記事では、標本調査でデータを集める方法を見ました。今回の記事では、集めたデータを見せる10種類のグラフの使い分けと、読み取りのコツについて解説します。
大きさを比べるグラフ
はじめに、大きさを比べるグラフについて解説します。ここで紹介するのは、ドットプロット、絵グラフ、棒グラフ の3つです。
1. ドットプロット
ドットプロット は、数直線の上に、データ1個につき点を1つ打って積み上げたグラフです。
例えば、10人が1週間に読んだ本の冊数が、0, 1, 1, 2, 2, 2, 3, 3, 4, 7 だったとします。実際のグラフでは点を縦に積み上げますが、ここでは横に並べて書いてみます。
| 冊数 | 点 |
|---|---|
| 0冊 | ● |
| 1冊 | ●● |
| 2冊 | ●●● |
| 3冊 | ●● |
| 4冊 | ● |
| 5冊 | |
| 6冊 | |
| 7冊 | ● |
1人が1つの点なので、データの個数が少ないときに向いています。2冊のところに人が集まっていて、7冊の人だけが離れていることも一目で分かります。
2. 絵グラフ
絵グラフ は、数量を絵の個数で表したグラフです。例えば、りんごの絵1つが100箱を表す場合、絵が5個なら500箱です。半分に切れた絵があれば、50箱を表します。
親しみやすいグラフですが、読むときは必ず「絵1つがいくつを表すか」を確かめましょう。
3. 棒グラフ
棒グラフ は、棒の高さで大きさを比べるグラフです。背比べのように項目を並べて、棒の高さがそのまま値の大きさを表します。
例えば、好きな給食の人数や、店ごとの売上を比べるときに使います。
以上が、大きさを比べるグラフについての解説です。
変化を見るグラフ
次に、時間とともに変わる様子を見るグラフについて説明します。
折れ線グラフ は、値を点で打って線で結んだグラフです。横軸に時間をとり、変化の様子を見るのに向いています。登山道の断面のように、線の傾きが急なところは、変化が大きいところです。
例えば、ある町の月ごとの平均気温が、4月から順に14℃、19℃、23℃、27℃、29℃だったとします。線は右上がりで、7月から8月にかけて傾きがゆるやかになります。「上がり方が落ち着いてきた」と読めるわけです。
面グラフ は、折れ線グラフの線より下を塗りつぶしたグラフです。塗られた面積で量の大きさを感じさせます。さらに、いくつかの項目を積み重ねて塗ると、全体の変化と内訳の変化を同時に見せられます。
例えば、ラーメン店の毎月の売上を「店内」と「持ち帰り」に分けて積み重ねたとしましょう。一番上の線が売上全体で、その中の持ち帰りの厚みが増えていれば、持ち帰りが伸びていると読めます。
以上が、変化を見るグラフについての説明です。
割合を見るグラフ
続いて、全体に占める割合を見るグラフについて解説します。ここで紹介するのは、円グラフ、帯グラフ、積み上げ棒グラフ の3つです。
円グラフ は、全体を100%の円とし、割合を扇形の大きさで表したグラフです。ピザを切り分けるイメージです。ふつうは真上から時計回りに、大きい順に並べて、「その他」は最後に置きます。
円の中心の角度は全部で360度なので、1%は3.6度です。例えば、25%の扇形なら中心の角度は90度になります。
帯グラフ は、全体を1本の帯とし、割合を長さで区切ったグラフです。帯を上下に並べられるので、複数のグループや年の割合を比べるのに向いています。例えば、1年生と3年生の通学方法の割合を比べるなら、円を2つ並べるより、帯を2本並べるほうが違いがよく見えます。
積み上げ棒グラフ は、棒の中を内訳で区切って積み上げたグラフです。帯グラフとの違いは、棒の高さが合計の値そのものを表すことです。
具体的に見てみましょう。ある喫茶店で売れた飲み物の杯数です。
| 月 | コーヒー | 紅茶 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 4月 | 300杯 | 200杯 | 500杯 |
| 5月 | 350杯 | 250杯 | 600杯 |
積み上げ棒グラフにすると、棒の高さから「合計が増えた」と分かり、区切りの位置から「どちらも増えた」と分かります。合計と内訳を1本で見せられるのが強みです。
【割合を見るグラフの使い分け】
- 1つのグループの割合を見る: 円グラフ
- 複数のグループの割合を比べる: 帯グラフ
- 合計の大きさと内訳を同時に見る: 積み上げ棒グラフ
以上が、割合を見るグラフについての解説です。
組み合わせたグラフ
さらに、2つのグラフを組み合わせたものについて説明します。
1. パレート図
パレート図 は、項目を大きい順に並べた棒グラフに、累積比率の折れ線グラフを重ねた図です。累積比率とは、1位から順に割合を足していった値です。
「どこから手を付ければ効果が大きいか」を知るときに使います。限られた時間で部屋を片付けるなら、一番散らかっている場所から手を付けますよね。その判断を図にしたものです。
例えば、ある工場で不良品100個の原因を調べました。
| 原因 | キズ | 汚れ | 欠け | 変形 | その他 |
|---|---|---|---|---|---|
| 個数 | 50 | 30 | 12 | 5 | 3 |
| 比率 | 50% | 30% | 12% | 5% | 3% |
| 累積比率 | 50% | 80% | 92% | 97% | 100% |
累積比率を見ると、上位2つのキズと汚れだけで80%を占めています。この2つの対策から始めれば、不良品の8割に手が届くと分かります。
2. 複合グラフ
複合グラフ は、種類の違うグラフを1つにまとめたグラフです。代表は棒グラフと折れ線グラフの組み合わせです。
例えば、ある町の月ごとの降水量を棒で、平均気温を折れ線で描くと、雨の多い時期と気温の関係を1枚で見られます。
ここで注意したいのが目盛りです。単位が違うので、左の軸が降水量(mm)、右の軸が気温(℃)のように、目盛りが2種類あります。読むときは、どの線がどちらの軸かを確かめましょう。棒と線の高さをそのまま比べても意味がありません。
以上が、組み合わせたグラフについての説明です。
グラフの読み違いを防ぐ
最後に、グラフを読むときの注意点を見ていきましょう。グラフは見た目の印象が強いぶん、だまされやすい道具でもあります。同じ人でも、写真の撮り方で印象が変わるのと同じです。
【よくある読み違い】
- 目盛りが0から始まっていない棒グラフ
- 大きさを変えた絵
- 割合と人数の取り違え
1つ目は、棒グラフの目盛りです。例えば、売上が98万円と100万円の2店があるとします。差はわずか2%ほどです。でも、目盛りを96万円から始めると、棒の高さは2と4になり、2倍の差があるように見えてしまいます。
2つ目は、絵の大きさです。絵の縦と横をそれぞれ2倍にすると、面積は4倍になります。値は2倍なのに、4倍に見えてしまうのです。
3つ目は、割合の読み方です。例題で確かめましょう。
例題:割合と人数を読み取る
ある学校で部活の入部希望者を調べた帯グラフを読むと、野球部の割合は次のとおりでした。野球部の希望者の人数は増えたでしょうか?
| 年 | 全体の人数 | 野球部の割合 |
|---|---|---|
| 去年 | 200人 | 30% |
| 今年 | 300人 | 25% |
【解き方】
- 去年の人数を求める: 200 × 0.30 = 60
- 今年の人数を求める: 300 × 0.25 = 75
- 2つを比べる: 75 − 60 = 15
答えは、15人増えた、です。割合は下がっていますが、全体が増えたので、人数は増えています。割合のグラフだけを見て、「野球部の希望者が減った」と考えてはいけません。
試験のポイント:帯グラフや円グラフは割合しか表していません。実際の数は「全体の数 × 割合」で計算して確かめます。
以上が、グラフの読み違いについての解説です。
細かい名前を忘れてしまっても問題ありません。ここでは、「何を見せたいかでグラフを選び、読むときは目盛りと単位を確かめる」という点だけ押さえておきましょう。
今回のまとめ
それでは、今回の内容を振り返ります。
今回は10種類の統計グラフの使い分けと読み方について紹介しました。種類は多いですが、「大きさ」「変化」「割合」のどれを見せたいのかを考えれば、選ぶべきものは自然に決まります。
今回のポイントを振り返りましょう。
振り返り
- 大きさを比べるなら棒グラフ、少ないデータの1つ1つを見せるならドットプロット。
- 時間による変化を見るなら折れ線グラフ。内訳も見せるなら面グラフ。
- 割合は円グラフ、割合の比較は帯グラフ、合計と内訳は積み上げ棒グラフ。
- パレート図は「どこから手を付けるか」を決めるグラフ。
- 割合が下がっても、全体が増えれば実際の数は増えることがある。
キーワードのおさらい
- ドットプロット: データ1個につき点を1つ打って積み上げたグラフ
- 絵グラフ: 数量を絵の個数で表したグラフ
- 棒グラフ: 棒の高さで大きさを比べるグラフ
- 折れ線グラフ: 値を線で結び、変化を見るグラフ
- 面グラフ: 折れ線の下を塗りつぶしたグラフ
- 円グラフ: 全体を円とし、割合を扇形で表したグラフ
- 帯グラフ: 全体を帯とし、割合を長さで表したグラフ
- 積み上げ棒グラフ: 棒の中を内訳で区切って積み上げたグラフ
- パレート図: 大きい順の棒グラフに累積比率の折れ線を重ねた図
- 複合グラフ: 種類の違うグラフを1つにまとめたグラフ
さて、グラフを描くには、まずデータを集計する必要があります。ばらばらに並んだ数字の山は、どうやって整理すればよいのでしょうか?
次回は、データを区切って数える「度数分布表」について紹介します。
それでは、次の記事へ進んでいきましょう。