4級-6 データの読み方の基礎
ヒストグラムと分布の形
- ヒストグラム(柱状グラフ)
- 幹葉図
- 分布
- 裾が長い(裾を引く)分布
- 外れ値
- 山型の分布
- 単峰性と多峰性
はじめに
「百聞は一見にしかず」という言葉があります。
何度も話を聞くより、自分の目で一度見たほうがよく分かる、という意味です。データも同じです。度数分布表の数字を上から順に読むより、形にして眺めたほうが、ずっと早く特徴をつかめます。
例えば、健康診断で体の中の様子を知りたいとき、数値の一覧だけでなくレントゲン写真も見ますよね。写真なら、どこが出っ張っていて、どこが変わっているのかが一目で分かります。
実は、データにも「形」があります。山が1つのもの、2つのもの、片側に長く伸びたもの。この形を見ることで、数字の表だけでは気づかなかったことが見えてきます。
そこで登場するのが、今回の主役 ヒストグラム です。
前回の記事では、度数分布表でデータを階級に分けて数えました。今回の記事では、度数分布表を形にするヒストグラムと 幹葉図 の作り方、そして形から分布の特徴を読み取る方法について解説します。
ヒストグラム:度数分布表を柱にする
はじめに、ヒストグラムについて解説します。
ヒストグラム は、度数分布表を柱の形で表したグラフです。日本語では 柱状グラフ とも呼びます。横軸に階級をとり、それぞれの階級の度数を柱の高さで表します。
前回の通学時間のデータで見てみましょう。度数の分だけ■を並べると、柱を横に倒した形が見えてきます。
| 階級(分) | 度数 | 柱のイメージ |
|---|---|---|
| 0以上10未満 | 2 | ■■ |
| 10以上20未満 | 6 | ■■■■■■ |
| 20以上30未満 | 7 | ■■■■■■■ |
| 30以上40未満 | 4 | ■■■■ |
| 40以上50未満 | 1 | ■ |
20分台を頂上にして、左右に下がっていく形が分かりますね。このようなデータの値の散らばり方のことを 分布 と言います。ヒストグラムは、分布を目で見るためのグラフです。
ヒストグラムは棒グラフに似ていますが、別物です。違いを整理しましょう。
| ヒストグラム | 棒グラフ | |
|---|---|---|
| 使うデータ | 量的データ | 主に質的データ |
| 横軸 | 連続した数の区間 | 項目 |
| 柱の間 | すき間をあけない | すき間をあける |
| 並び順 | 変えられない | 変えてもよい |
なぜ、すき間をあけないのでしょうか? それは、横軸が数直線のように続いているからです。20分の次は、すぐに20分より少し長い値が続きます。「血液型」の項目のように、箱が別々に分かれているわけではないのです。
もう1つ、階級幅の決め方も大切です。カメラのピントのように、幅によって見え方が変わります。
例えば、通学時間を25分幅で分けると、度数は11と9になります。柱が2本だけでは、山の形は見えません。逆に1分幅にすると、ほとんどの柱の度数が0か1になって、ギザギザで形が分かりません。ちょうどよい幅を探すことが大切です。
補足(ここは読み飛ばしてOK): 階級幅が階級によって違うときは、柱の高さではなく面積が度数を表すように描きます。
試験のポイント:ヒストグラムは量的データの分布を見るグラフで、柱の間をあけずに描きます。
以上が、ヒストグラムについての解説です。
幹葉図:1つ1つの値を残して並べる
次に、幹葉図について説明します。
ヒストグラムには弱点が1つあります。階級にまとめた時点で、元の値が見えなくなることです。例えば、20分台に7人いることは分かっても、20分の人がいるのか29分の人がいるのかは分かりません。
この弱点を補うのが 幹葉図 です。幹葉図は、値を上の位(幹)と下の位(葉)に分けて、葉を並べた図です。木の幹から葉が生えている姿から、この名前が付いています。
具体的に見てみましょう。通学時間の20個の値を、十の位を幹、一の位を葉にして並べます。
| 幹(十の位) | 葉(一の位) |
|---|---|
| 0 | 7 9 |
| 1 | 2 3 5 6 8 9 |
| 2 | 0 2 4 5 5 7 9 |
| 3 | 0 3 5 8 |
| 4 | 6 |
読み方はシンプルです。幹が2で葉が4なら、24分を表します。
【幹葉図の手順】
- 値を幹と葉に分ける
- 幹を縦に小さい順に並べる
- 葉を幹の右に小さい順に並べる
幹ごとの葉の個数は、10分幅のヒストグラムの度数と一致しています。さらに、元の値も全部読めるのが強みです。形も見えて、値も残る、というわけです。
ただし、データの個数が多くなると、葉が長くなりすぎて書き切れません。数十個までのデータに向いた方法です。
例題:幹葉図を読み取る
この幹葉図を見て、次の2つに答えましょう。
- 最も大きい値はいくつか
- 25分以上の人は何人か
【解き方】
- 一番下の幹4の葉は6だけなので、最も大きい値は46
- 幹2で葉が5以上の値は 25, 25, 27, 29 の4個
- 幹3の4個と幹4の1個を足す: 4 + 4 + 1 = 9
答えは、46分と9人です。
以上が、幹葉図についての説明です。
分布の形を読み取る
続いて、ヒストグラムから分布の形を読み取る方法を解説します。見るべきポイントは2つです。
【分布の形を見るポイント】
- 山はどんな形か、左右どちらかに伸びていないか
- 山はいくつあるか
1つずつ見ていきましょう。
1. 山の形と裾
中央が高く、左右に向かって低くなる形の分布を 山型の分布 と言います。例えば、同じ学年の同じ性別の生徒の身長は、平均のあたりに人が集まり、とても高い人やとても低い人は少なくなります。
一方で、片側になだらかに伸びる分布もあります。山のふもとの広がりを裾と呼び、片側の裾が長く伸びた分布を 裾が長い分布(裾を引く分布)と言います。
例えば、1か月のお小遣いを考えてみましょう。多くの人は数千円のところに集まりますが、ごく少数の人がとても高い金額をもらっています。山は左に寄り、右に向かって細い裾が長く伸びます。これを「右に裾が長い」と言います。世帯の年収や貯蓄額も同じ形です。
せっかくなので、別の例も見てみましょう。とても簡単なテストでは、多くの人が高い点数をとり、ごく一部の人だけが低い点数になります。山は右に寄り、裾は左に長く伸びます。これが「左に裾が長い」分布です。
ここがポイントです。「右に裾が長い」分布の山は、左側にあります。呼び方は山の位置ではなく、裾が伸びる方向です。
2. 山の数
山が1つの分布は 単峰性、山が2つ以上ある分布は 多峰性 と言います。「峰」は山の頂上のことです。単峰性と多峰性の違いは、データの背景を考える大きな手がかりになります。
例えば、ラーメン店で1日の来店時刻のヒストグラムを描いたとしましょう。昼の12時台と夜の18時台に、山が2つできます。お昼を食べに来る人と、夕食を食べに来る人が混ざっているからです。
別の例では、高校生の男女を合わせた身長があります。男女でそれぞれ中心が違うので、山が2つに見えることがあります。
つまり、多峰性の分布を見たら、「性質の違うグループが混ざっているのでは?」と疑いましょう。グループごとに分けて見直すと、理由が見えてきます。
例題:分布の形を読み取る
50人の1日のスマートフォン利用時間を調べました。
| 階級(時間) | 0以上1未満 | 1以上2未満 | 2以上3未満 | 3以上4未満 | 4以上5未満 | 5以上6未満 | 6以上7未満 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 度数 | 12 | 18 | 9 | 5 | 3 | 2 | 1 |
この分布の形を答えましょう。また、3時間以上の人の割合を求めましょう。
【解き方】
- 度数の山は1以上2未満の1つだけなので、単峰性
- 山は左に寄り、右に向かって度数が少しずつ減るので、右に裾が長い分布
- 3時間以上の人を足す: 5 + 3 + 2 + 1 = 11
- 全体で割る: 11 ÷ 50 = 0.22
答えは、右に裾が長い単峰性の分布で、割合は22%です。
試験のポイント:「右に裾が長い」は、山が左に寄り、右に細く伸びる形です。年収や貯蓄額が代表例です。
以上が、分布の形の読み取り方についての解説です。
外れ値を見つける
最後に、外れ値について見ていきましょう。
外れ値 は、他の値から大きく離れた値です。ヒストグラムでは、本体の山から離れたところに、ぽつんと立つ柱として現れます。集合写真で、1人だけ遠くに立っている人がいれば、誰でも気づきますよね。
例えば、通学時間のデータに、遠くから通う95分の人が加わったとします。0分から50分までの山とは別に、90以上100未満のところに1本だけ柱が立ちます。間の40分ほどには柱がないので、すぐに目に留まります。
外れ値を見つけたら、すぐに消してはいけません。まず、なぜその値になったのかを確かめます。
【外れ値を見つけたときの考え方】
- 記録のミスではないか: 身長165cmを1650cmと入力した、など
- 本当にそういう値なのか: 遠くから通っている人が本当にいる、など
ミスなら正しい値に直します。本当の値なら、それ自体が大切な情報かもしれません。PPDACサイクルの Data の段階で点検する、という話を思い出してください。
また、外れ値があると、データの計算結果が大きく動くことがあります。この点は次回、くわしく見ていきます。
以上が、外れ値についての説明です。
細かい部分が分からなかったとしても問題ありません。ここでは、「数字を見る前に、まず形を見る」という点だけ押さえておきましょう。
今回のまとめ
それでは、今回の内容を振り返ります。
今回はデータの形を目で見るヒストグラムと幹葉図、そして分布の読み取り方について紹介しました。データはレントゲン写真のように、形にすると中身が見えてきます。山の数と裾の向き、離れた値の3つを見るだけで、データの性格はかなり分かります。
今回のポイントを振り返りましょう。
振り返り
- ヒストグラムは、度数分布表を柱にしたグラフ。量的データに使い、柱の間はあけない。
- 幹葉図は、形を見せながら元の値も残す図。
- 片側に伸びた分布は、伸びる方向で呼ぶ。「右に裾が長い」分布の山は左にある。
- 山が2つ以上あれば、性質の違うグループが混ざっているかもしれない。
- 外れ値を見つけたら、消す前に理由を確かめる。
キーワードのおさらい
- ヒストグラム(柱状グラフ): 度数分布表を柱の形で表したグラフ
- 幹葉図: 値を幹と葉に分け、元の値を残して並べた図
- 分布: データの値の散らばり方
- 山型の分布: 中央が高く、左右に向かって低くなる分布
- 裾が長い分布(裾を引く分布): 片側の裾が長く伸びた分布
- 単峰性と多峰性: 山が1つの分布と、山が2つ以上ある分布
- 外れ値: 他の値から大きく離れた値
さて、ヒストグラムで分布の形が見えました。でも、人に伝えるときに毎回グラフを見せるのは大変ですよね。分布の真ん中を、たった1つの数で言えたら便利だと思いませんか?
次回は、データの中心を1つの数で表す「代表値」について紹介します。
それでは、次の記事へ進んでいきましょう。