統計学 学習ノート

統計検定の4級から1級まで、出題範囲の順に記事と練習問題で学ぶ

1級数理-2 統計数理

確率分布と母関数 — 同時分布から母関数まで

  • 確率関数
  • 確率密度関数
  • 累積分布関数
  • 生存関数
  • 危険率
  • 同時分布
  • 周辺分布
  • 条件付き分布
  • 確率母関数
  • モーメント母関数(積率母関数)

はじめに

「母関数って、平均を出すだけなら定義から計算すればよくない?」

準1級では、母関数を微分して平均と分散を求めました。でも、定義どおりに和や積分を計算しても、同じ答えが出ますよね。わざわざ遠回りする理由が、いまひとつ見えません。

例えば、本人確認を考えてみましょう。身長と体重が同じでも、本人とは言い切れません。しかし指紋が一致すれば、本人だと分かります。平均と分散は身長と体重のようなもので、分布の一部しか語りません。

実は、母関数の本当の力は、平均を出すことではありません。母関数は分布の指紋です。一致すれば分布が同じだと言えて、独立な和は指紋の掛け算になります。この性質のおかげで、和の分布を積分なしで導けるのです。

そこで登場するのが、今回の主役 確率母関数 と モーメント母関数 です。もう1人、寿命の分析で活躍する 危険率 も加わります。

前回の記事では、事象の確率を公理から導きました。今回の記事では、危険率と生存関数の関係、同時分布から条件付き分布を組み立てる手順、そして2つの母関数の定理とその証明について解説します。

生存関数と危険率:今この瞬間の危なさ

はじめに、分布を表す関数と、新しく加わる危険率について解説します。

準1級の復習です。離散型は確率関数 p(x)p(x)、連続型は確率密度関数 f(x)f(x) で表します。どちらにも累積分布関数 F(x)=P(X≤x)F(x) = P(X \le x) と生存関数 S(x)=1−F(x)S(x) = 1 - F(x) があり、連続型では f(x)=F′(x)=−S′(x)f(x) = F'(x) = -S'(x) です。

ここに加わるのが 危険率(hazard rate)です。ハザード関数とも呼びます。XX を機械の寿命とすると、時刻 xx まで動いた機械が、その直後に壊れる勢いを表します。

h(x)=lim⁡Δ→+0P(x<X≤x+Δ∣X>x)Δ=f(x)S(x)h(x) = \lim_{\Delta \to +0} \frac{P(x < X \le x + \Delta \mid X > x)}{\Delta} = \frac{f(x)}{S(x)}

右の等号は、定義から出ます。条件付き確率の分子は F(x+Δ)−F(x)F(x + \Delta) - F(x)、分母は S(x)S(x) なので、Δ\Delta で割って極限をとると f(x)/S(x)f(x)/S(x) です。

f(x)f(x) と h(x)h(x) の違いは、分母にあります。f(x)f(x) は「生まれた全員」を基準にした濃さで、h(x)h(x) は「今も生きている人」を基準にした濃さです。「80歳で亡くなる人の割合」と「80歳まで生きた人が1年以内に亡くなる割合」は、まったく別の数字ですよね。前者が ff で、後者が hh にあたります。

補足(ここは読み飛ばしてOK): 検定の有意水準を「危険率」と呼ぶ本もありますが、それとは別の用語です。ここでの危険率は、生存時間の分析で使う量です。

f=−S′f = -S' なので、h(x)=−ddxlog⁡S(x)h(x) = -\dfrac{d}{dx} \log S(x) と書けます。X>0X > 0 なら S(0)=1S(0) = 1 なので、積分すると次の公式が得られます。

S(x)=exp⁡(−∫0xh(u) du)S(x) = \exp\left(-\int_0^x h(u)\, du\right)

つまり、危険率が分かれば、生存関数も確率密度関数も決まります。危険率もまた、同じ分布の別の見せ方なのです。

例えば、h(x)=λh(x) = \lambda(定数)なら S(x)=e−λxS(x) = e^{-\lambda x} で、指数分布です。どれだけ使っても壊れやすさが変わらない、年をとらない部品のモデルです。

もう1つ、X≥0X \ge 0 のとき E[X]=∫0∞S(x) dxE[X] = \int_0^\infty S(x)\, dx が成り立ちます。証明は、X=∫0∞1{x<X} dxX = \int_0^\infty \mathbf{1}_{\{x < X\}}\, dx の両辺の期待値をとり、期待値と積分の順序を入れかえるだけです。前回の指示関数が、ここでも働きます。

例題:危険率から分布を求める

機械の寿命 XX(年)の危険率が h(x)=xh(x) = x(x>0x > 0)である。〔1〕S(x)S(x) と f(x)f(x) を求めよ。〔2〕P(X>2∣X>1)P(X > 2 \mid X > 1) を求めよ。〔3〕E[X]E[X] を求めよ。

【解答】

〔1〕∫0xu du=x2/2\int_0^x u\, du = x^2/2 より S(x)=e−x2/2S(x) = e^{-x^2/2} である。f=hSf = hS より f(x)=xe−x2/2f(x) = x e^{-x^2/2} である。

〔2〕P(X>2∣X>1)=S(2)/S(1)=e−2+1/2=e−3/2≈0.223P(X > 2 \mid X > 1) = S(2)/S(1) = e^{-2 + 1/2} = e^{-3/2} \approx 0.223 である。

〔3〕正規分布の確率密度関数の積分が1であることから、E[X]=∫0∞e−x2/2 dx=π/2≈1.253E[X] = \int_0^\infty e^{-x^2/2}\, dx = \sqrt{\pi/2} \approx 1.253 である。

新品が1年もつ確率は S(1)≈0.607S(1) \approx 0.607 なので、1年使った機械のほうが、次の1年はずっと危ないと分かります。

以上が、生存関数と危険率についての解説です。

同時分布から条件付き分布を組み立てる

次に、2つの確率変数の扱い方について説明します。

同時分布 から片方を足し切ると 周辺分布 になり、同時を周辺で割ると 条件付き分布 になる、というのが準1級の内容でした。1級ではこれを逆向きにも使います。条件付き確率の定義の分母を払った、次の式です。

p(x,y)=pX(x) p(y∣x)p(x, y) = p_X(x)\, p(y \mid x)

現実のモデルは、たいていこの形で作られます。まず XX の値が決まり、それに応じて YY の値が決まるのです。二段階のくじのように、1段目の結果で2段目のくじ箱が変わるイメージです。

例えば、連続型で 0<y<x0 < y < x の範囲に f(x,y)=e−xf(x, y) = e^{-x} があるとします。積分の範囲に注意して足し切ると、fX(x)=∫0xe−x dy=xe−xf_X(x) = \int_0^x e^{-x}\, dy = x e^{-x}、fY(y)=∫y∞e−x dx=e−yf_Y(y) = \int_y^\infty e^{-x}\, dx = e^{-y} です。割り算すると f(y∣x)=1/xf(y \mid x) = 1/x、f(x∣y)=e−(x−y)f(x \mid y) = e^{-(x-y)} です。

読み方はこうです。X=xX = x のもとで、YY は (0,x)(0, x) の一様分布に従います。Y=yY = y のもとでは、X−yX - y が指数分布に従います。同じ同時分布を、2通りの段階に分解できるのです。

例題:買った人の数の分布

1時間の来店者数 XX はポアソン分布 Po(λ)Po(\lambda) に従い、各来店者は互いに独立に確率 pp で商品を買う。買った人数を YY、q=1−pq = 1 - p とする。〔1〕同時確率関数 p(x,y)p(x, y) を求めよ。〔2〕YY の周辺分布を求めよ。〔3〕Y=yY = y のもとでの XX の条件付き分布を求めよ。

【解答】

〔1〕X=xX = x のもとで Y∼B(x,p)Y \sim B(x, p) だから、0≤y≤x0 \le y \le x で次のようになる。

p(x,y)=e−λλxx!⋅x!y! (x−y)! pyqx−y=e−λ (λp)yy!⋅(λq)x−y(x−y)!p(x, y) = \frac{e^{-\lambda} \lambda^x}{x!} \cdot \frac{x!}{y!\,(x-y)!}\, p^y q^{x-y} = e^{-\lambda}\, \frac{(\lambda p)^y}{y!} \cdot \frac{(\lambda q)^{x-y}}{(x-y)!}

〔2〕xx を yy 以上で足す。z=x−yz = x - y とおくと ∑z=0∞(λq)z/z!=eλq\sum_{z=0}^{\infty} (\lambda q)^z / z! = e^{\lambda q} だから、次を得る。

pY(y)=e−λ+λq (λp)yy!=e−λp (λp)yy!p_Y(y) = e^{-\lambda + \lambda q}\, \frac{(\lambda p)^y}{y!} = e^{-\lambda p}\, \frac{(\lambda p)^y}{y!}

すなわち Y∼Po(λp)Y \sim Po(\lambda p) である。

〔3〕〔1〕を〔2〕で割ると、p(x∣y)=e−λq(λq)x−y/(x−y)!p(x \mid y) = e^{-\lambda q} (\lambda q)^{x-y} / (x-y)! である。すなわち、Y=yY = y のもとで X−y∼Po(λq)X - y \sim Po(\lambda q) である。

〔3〕の分布は yy によりません。買わなかった人数は、買った人数を聞いても変わらないのです。例えば λ=6\lambda = 6、p=1/3p = 1/3 なら Y∼Po(2)Y \sim Po(2) で、誰も買わない確率は e−2≈0.135e^{-2} \approx 0.135 です。

試験のポイント:周辺化の和や積分は、f(x,y)f(x, y) が正になる範囲で行います。答案では、はじめに範囲を明記します。

以上が、同時分布から条件付き分布を組み立てる手順についての説明です。

確率母関数:ランダムな個数の和まで扱う

続いて、確率母関数について解説します。

確率母関数 は、0以上の整数をとる XX について G(s)=E[sX]=∑kpkskG(s) = E[s^X] = \sum_k p_k s^k と定めます。sks^k の位置に確率 pkp_k を1つずつ吊るした、物干し竿のような関数です。

【確率母関数の3つの性質】

  1. 確率が取り出せる: pk=G(k)(0)/k!p_k = G^{(k)}(0) / k!
  2. 階乗モーメントが出る: G(r)(1)=E[X(X−1)⋯(X−r+1)]G^{(r)}(1) = E[X(X-1)\cdots(X-r+1)]
  3. 独立な和は積になる: GX+Y(s)=GX(s) GY(s)G_{X+Y}(s) = G_X(s)\, G_Y(s)

性質1はべき級数の係数の取り出しで、GG と分布が1対1であることも示しています。性質2は項別に rr 回微分して s=1s = 1 とおくと出ます。性質3は、独立なら E[sXsY]=E[sX]E[sY]E[s^X s^Y] = E[s^X] E[s^Y] となることから出ます。

性質2から、分散は V[X]=G′′(1)+G′(1)−G′(1)2V[X] = G''(1) + G'(1) - G'(1)^2 です。

1級で特に強力なのは、足す個数まで確率変数である場合です。X1,X2,…X_1, X_2, \dots が同じ分布に独立に従い、NN がそれらと独立なとき、S=X1+⋯+XNS = X_1 + \cdots + X_N の確率母関数は次のようになります。

GS(s)=GN(GX(s))G_S(s) = G_N(G_X(s))

証明の筋道はこうです。N=nN = n のもとでは性質3から E[sS∣N=n]=GX(s)nE[s^S \mid N = n] = G_X(s)^n です。これを NN について平均すると、E[GX(s)N]=GN(GX(s))E[G_X(s)^N] = G_N(G_X(s)) が得られます。

合成関数の微分をして s=1s = 1 とおくと、次の公式が出ます。

E[S]=E[N] E[X],V[S]=E[N] V[X]+V[N] E[X]2E[S] = E[N]\, E[X], \qquad V[S] = E[N]\, V[X] + V[N]\, E[X]^2

分散の第1項は「1件ごとのばらつき」、第2項は「件数のばらつき」です。

先ほどの例題を、この道具で解き直してみましょう。N∼Po(λ)N \sim Po(\lambda) で GN(s)=eλ(s−1)G_N(s) = e^{\lambda(s-1)}、1人の購入の有無は GX(s)=q+psG_X(s) = q + ps です。代入すると GS(s)=eλ(q+ps−1)=eλp(s−1)G_S(s) = e^{\lambda(q + ps - 1)} = e^{\lambda p (s-1)} で、これは Po(λp)Po(\lambda p) の確率母関数です。さっきの和の計算が、1行で済みました。

例題:注文の総個数

1日の注文件数 NN が Po(4)Po(4) に従い、1件の注文の個数は確率 1/21/2 ずつで1個か2個である。件数と各注文の個数はすべて独立とする。総個数を SS とする。〔1〕GS(s)G_S(s) を求めよ。〔2〕E[S]E[S] と V[S]V[S] を GSG_S の微分から求めよ。〔3〕P(S=1)P(S = 1) を求めよ。

【解答】

〔1〕GX(s)=(s+s2)/2G_X(s) = (s + s^2)/2 だから、GS(s)=exp⁡(4(GX(s)−1))=exp⁡(2s+2s2−4)G_S(s) = \exp(4(G_X(s) - 1)) = \exp(2s + 2s^2 - 4) である。

〔2〕GS′(s)=(2+4s)GS(s)G_S'(s) = (2 + 4s) G_S(s)、GS′′(s)={(2+4s)2+4}GS(s)G_S''(s) = \{(2 + 4s)^2 + 4\} G_S(s) で、GS(1)=1G_S(1) = 1 より GS′(1)=6G_S'(1) = 6、GS′′(1)=40G_S''(1) = 40 である。よって E[S]=6E[S] = 6、V[S]=40+6−36=10V[S] = 40 + 6 - 36 = 10 である。

〔3〕P(S=1)=GS′(0)=2e−4≈0.037P(S = 1) = G_S'(0) = 2 e^{-4} \approx 0.037 である。

公式でも確かめましょう。E[S]=4×1.5=6E[S] = 4 \times 1.5 = 6、V[S]=4×0.25+4×1.52=10V[S] = 4 \times 0.25 + 4 \times 1.5^2 = 10 で、一致します。

以上が、確率母関数についての解説です。

モーメント母関数:定理の証明とその限界

最後に、モーメント母関数の定理を見ていきましょう。

モーメント母関数 は M(t)=E[etX]M(t) = E[e^{tX}] で、00 を含む開区間で有限なときに使います。XX が0以上の整数なら M(t)=G(et)M(t) = G(e^t) です。

【モーメント母関数の定理】

  1. モーメント: M(r)(0)=E[Xr]M^{(r)}(0) = E[X^r]
  2. 1次変換と独立な和: MaX+b(t)=ebtMX(at)M_{aX+b}(t) = e^{bt} M_X(at)、MX+Y(t)=MX(t)MY(t)M_{X+Y}(t) = M_X(t) M_Y(t)
  3. 一意性: 00 の近くで MM が一致すれば、分布が一致する

1つずつ見ていきましょう。定理1は、etXe^{tX} のテイラー展開の期待値を項別にとることで得られます。00 の近くで MM が有限なら、この入れかえが正当化されます。定理2は、定義に代入するだけです。定理3はラプラス変換の一意性によるもので、答案では証明せずに引用してかまいません。

対数をとった K(t)=log⁡M(t)K(t) = \log M(t) を キュムラント母関数 と呼びます。K′=M′/MK' = M'/M、K′′=(M′′M−M′2)/M2K'' = (M''M - M'^2)/M^2 に M(0)=1M(0) = 1 を入れると、次の式が得られます。

K′(0)=E[X],K′′(0)=V[X]K'(0) = E[X], \qquad K''(0) = V[X]

積を和に変えるので、計算が楽になります。例えばポアソン分布では K(t)=λ(et−1)K(t) = \lambda(e^t - 1) で、微分は何回しても λ\lambda です。期待値も分散も λ\lambda だと、すぐに分かります。

例題:指数分布の差

XX、YY は独立で、どちらも確率密度関数 e−xe^{-x}(x>0x > 0)に従う。W=X−YW = X - Y とする。〔1〕MW(t)M_W(t) を求めよ。〔2〕WW の確率密度関数が 12e−∣w∣\frac{1}{2} e^{-|w|} であることを示せ。〔3〕E[W2]E[W^2] と E[W4]E[W^4] を求めよ。

【解答】

〔1〕MX(t)=∫0∞e−(1−t)x dx=1/(1−t)M_X(t) = \int_0^\infty e^{-(1-t)x}\, dx = 1/(1-t)(t<1t < 1)である。定理2より、∣t∣<1|t| < 1 で次を得る。

MW(t)=MX(t) MY(−t)=1(1−t)(1+t)=11−t2M_W(t) = M_X(t)\, M_Y(-t) = \frac{1}{(1-t)(1+t)} = \frac{1}{1 - t^2}

〔2〕12e−∣w∣\frac{1}{2} e^{-|w|} のモーメント母関数を計算する。w>0w > 0 と w<0w < 0 に分けて積分すると、12(11−t+11+t)=11−t2\frac{1}{2}\left(\frac{1}{1-t} + \frac{1}{1+t}\right) = \frac{1}{1-t^2} で、〔1〕と一致する。定理3より、WW の確率密度関数はこれである。

〔3〕1/(1−t2)=1+t2+t4+⋯1/(1-t^2) = 1 + t^2 + t^4 + \cdots である。trt^r の係数は E[Wr]/r!E[W^r]/r! だから、E[W2]=2E[W^2] = 2、E[W4]=24E[W^4] = 24 である。

畳み込みの積分を1回もせずに、分布が同定できました。これが「指紋」の使い方です。

ただし、モーメント母関数には弱点があります。存在しない分布があるのです。

【モーメント母関数が使えない例】

  • コーシー分布: t≠0t \ne 0 で発散する。期待値も存在しない
  • 対数正規分布: すべてのモーメントが有限なのに、t>0t > 0 で発散する

そこで、虚数単位を使った 特性関数 φ(t)=E[eitX]\varphi(t) = E[e^{itX}] が用意されています。∣eitX∣=1|e^{itX}| = 1 なので、どんな分布にも必ず存在します。一意性も、独立な和が積になる性質も同じです。

試験のポイント:「分布を求めよ」と問われたら、母関数を計算して既知の分布と一致させ、一意性を明記して結論します。「一意性より」の一言を落とさないようにしましょう。

以上が、モーメント母関数についての解説です。

細かい部分が分からなかったとしても問題ありません。ここでは、「母関数は分布の指紋で、独立な和を掛け算に変える」という点だけ押さえておきましょう。

今回のまとめ

それでは、今回の内容を振り返ります。

今回は分布を表す関数のつながりと、2つの母関数の定理について紹介しました。確率関数も生存関数も危険率も母関数も、同じ分布の別の見せ方です。問題に応じて、いちばん計算の楽な見せ方に移ることが、1級の解き方です。

今回のポイントを振り返りましょう。

振り返り

  • 危険率は「今も生きている人」を基準にした濃さで、h=f/Sh = f/S。積分すると生存関数に戻る。
  • 同時分布は「周辺 × 条件付き」で組み立てられ、二段階のモデルはこの形で書ける。
  • ランダムな個数の和の確率母関数は GN(GX(s))G_N(G_X(s)) で、合成関数になる。
  • モーメント母関数は分布の指紋。独立な和を積に変え、一意性で分布を同定する。

キーワードのおさらい

  • 確率関数: 離散型で各値をとる確率を表す関数
  • 確率密度関数: 連続型で積分すると確率になる関数
  • 累積分布関数: F(x)=P(X≤x)F(x) = P(X \le x)
  • 生存関数: S(x)=P(X>x)=1−F(x)S(x) = P(X > x) = 1 - F(x)
  • 危険率: h(x)=f(x)/S(x)h(x) = f(x)/S(x)。生き残った条件のもとで直後に起こる勢い
  • 同時分布: 複数の確率変数をまとめて見た分布
  • 周辺分布: 同時分布から他の変数を足し切った分布
  • 条件付き分布: 片方の値を固定したときの分布。同時を周辺で割る
  • 確率母関数: G(s)=E[sX]G(s) = E[s^X]。階乗モーメントと確率を取り出せる
  • モーメント母関数(積率母関数): M(t)=E[etX]M(t) = E[e^{tX}]。モーメントが微分で出て、分布を一意に定める

さて、母関数を使うとモーメントが楽に求まることが分かりました。では、求めたモーメントから、分布の形はどこまで読み取れるのでしょうか?

次回は、分布の特性値について紹介します。

それでは、次の記事へ進んでいきましょう。

練習問題5問開いて挑戦する
問1. 寿命 XX の危険率が h(x)=2xh(x) = 2x(x>0x > 0)である。P(X>2∣X>1)P(X > 2 \mid X > 1) として正しいものはどれか。
問2. 確率母関数が G(s)=(0.6+0.4s)5G(s) = (0.6 + 0.4s)^5 である確率変数 XX について、E[X(X−1)]E[X(X-1)] として正しいものはどれか。
問3. N∼Po(5)N \sim Po(5) で、XiX_i は平均2、分散1の分布に独立に従い、NN とも独立である。S=X1+⋯+XNS = X_1 + \cdots + X_N の分散として正しいものはどれか。
問4. モーメント母関数と特性関数の説明として、最も適切なものはどれか。
問5. 0<y<x0 < y < x で同時確率密度関数が f(x,y)=2e−x−yf(x, y) = 2e^{-x-y} であるとき、E[X∣Y=1]E[X \mid Y = 1] として正しいものはどれか。