統計学 学習ノート

統計検定の4級から1級まで、出題範囲の順に記事と練習問題で学ぶ

準1級-12 応用統計の手法

推定量の漸近的性質

  • フィッシャー情報量
  • 最尤推定量の漸近正規性
  • ジャックナイフ法
  • カルバック・ライブラー情報量

はじめに

「標本が大きくなると、最尤推定量はどんな分布に従うの?」

前回の記事で、不偏推定量の分散にはクラーメル・ラオの下限があることを学びました。でも、小さな標本では、下限に届かない推定量もありました。しかも、最尤推定量の多くは、正確な分布が分かりません。ロジスティック回帰の係数の信頼区間を、どうやって作ればよいのでしょうか?

実は、標本が大きければ、この問題はきれいに解決します。ふつうの条件のもとで、最尤推定量は正規分布に近づき、その分散はクラーメル・ラオの下限に届くのです。統計ソフトが出力する標準誤差の多くは、この事実を使っています。

そこで登場するのが、今回の主役 フィッシャー情報量 と 最尤推定量の漸近正規性 です。

今回の記事では、この2つに加えて、分布のズレを測る カルバック・ライブラー情報量 と、計算で偏りと標準誤差を求める ジャックナイフ法 について解説します。

フィッシャー情報量:対数尤度の尖り具合

はじめに、フィッシャー情報量の意味について解説します。

対数尤度のグラフを、山だと考えてください。山頂の位置が最尤推定値です。山頂が鋭く尖っていれば、頂上の場所ははっきり分かります。なだらかな丘なら、どこが頂上かよく分かりません。つまり、山の尖り具合が、データが母数について教えてくれる情報の量です。

これを式にします。1個の観測の対数密度を θ\theta で微分した量を スコア と呼びます。

s(X;θ)=∂∂θlog⁡f(X;θ)s(X;\theta) = \frac{\partial}{\partial\theta}\log f(X;\theta)

スコアの期待値は0です。∫f dx=1\int f\,dx = 1 の両辺を θ\theta で微分すれば、∫(∂f/∂θ) dx=E[s]=0\int (\partial f/\partial\theta)\,dx = E[s] = 0 となるからです。もう一度微分すると、次の2つの表現が等しいことも分かります。

I(θ)=E[s(X;θ)2]=−E[∂2∂θ2log⁡f(X;θ)]I(\theta) = E[s(X;\theta)^2] = -E\left[\frac{\partial^2}{\partial\theta^2}\log f(X;\theta)\right]

これが フィッシャー情報量 です。1つ目の式はスコアの分散で、2つ目の式は山の曲がり具合の平均です。計算では、2階微分を使う2つ目の式が楽なことが多いです。

独立な nn 個の観測では、情報量は足し算になり、全体で nI(θ)nI(\theta) です。データが2倍になれば情報も2倍、ということです。

1つずつ計算してみましょう。ベルヌーイ分布では log⁡f=xlog⁡p+(1−x)log⁡(1−p)\log f = x\log p + (1-x)\log(1-p) なので、次のようになります。

−∂2∂p2log⁡f=xp2+1−x(1−p)2,I(p)=1p+11−p=1p(1−p)-\frac{\partial^2}{\partial p^2}\log f = \frac{x}{p^2} + \frac{1-x}{(1-p)^2}, \qquad I(p) = \frac{1}{p} + \frac{1}{1-p} = \frac{1}{p(1-p)}

主な分布の結果をまとめると、次の表になります。

分布母数I(θ)I(\theta)
ベルヌーイ分布pp1/{p(1−p)}1/\{p(1-p)\}
ポアソン分布λ\lambda1/λ1/\lambda
正規分布(σ2\sigma^2 既知)μ\mu1/σ21/\sigma^2
指数分布(平均 θ\theta)θ\theta1/θ21/\theta^2

正規分布の行を見てください。ばらつきが小さいほど、1個の観測の情報は多いのです。的確な証言者の1人の証言は重い、というイメージです。

母数が複数あるときは、Ijk(θ)=−E[∂2log⁡f/∂θj∂θk]I_{jk}(\theta) = -E[\partial^2 \log f/\partial\theta_j \partial\theta_k] を成分とする フィッシャー情報行列 を使います。例えば、N(μ,σ2)N(\mu, \sigma^2) の (μ,σ2)(\mu, \sigma^2) についての情報行列は、対角成分が 1/σ21/\sigma^2 と 1/(2σ4)1/(2\sigma^4) の対角行列です。逆行列を nn で割ると、μ\mu の下限 σ2/n\sigma^2/n と σ2\sigma^2 の下限 2σ4/n2\sigma^4/n が読み取れます。

例題:指数分布のフィッシャー情報量

密度 f(x;λ)=λe−λxf(x;\lambda) = \lambda e^{-\lambda x}(x>0x > 0)について、λ\lambda のフィッシャー情報量を求めましょう。

【解き方】

  1. 対数をとる: log⁡f=log⁡λ−λx\log f = \log\lambda - \lambda x
  2. 2回微分する: ∂2log⁡f/∂λ2=−1/λ2\partial^2 \log f/\partial\lambda^2 = -1/\lambda^2
  3. 符号を変えて期待値をとる: I(λ)=1/λ2I(\lambda) = 1/\lambda^2

答えは 1/λ21/\lambda^2 です。2階微分に xx が残らないので、期待値の計算すら要りません。

補足(ここは読み飛ばしてOK): 統計量 TT のもつ情報量は、もとのデータの情報量以下で、等号が成り立つのは TT が十分統計量のときです。十分統計量が「情報を失わない」という言葉は、ここで文字どおりの意味になります。

以上が、フィッシャー情報量についての解説です。

最尤推定量の漸近正規性:標本が大きければ正規分布

次に、この記事の中心である定理について説明します。

適当な正則条件のもとで、最尤推定量 θ^n\hat{\theta}_n は次の性質をもちます。これが 最尤推定量の漸近正規性 です。

n (θ^n−θ) →d N(0, 1I(θ))\sqrt{n}\,(\hat{\theta}_n - \theta) \ \xrightarrow{d}\ N\left(0,\ \frac{1}{I(\theta)}\right)

→d\xrightarrow{d} は分布収束です。言葉で言うと、nn が大きいとき、θ^n\hat{\theta}_n は近似的に平均 θ\theta、分散 1/{nI(θ)}1/\{nI(\theta)\} の正規分布に従う、ということです。この分散は、クラーメル・ラオの下限と同じです。最尤推定量は、標本が大きければ下限に届く 漸近有効 な推定量なのです。

導出の要点を見ましょう。対数尤度を ℓ\ell とします。山頂では ℓ′(θ^)=0\ell'(\hat{\theta}) = 0 なので、これを真の θ\theta のまわりでテイラー展開します。

0=ℓ′(θ^)≈ℓ′(θ)+(θ^−θ) ℓ′′(θ)0 = \ell'(\hat{\theta}) \approx \ell'(\theta) + (\hat{\theta} - \theta)\,\ell''(\theta)

整理すると、次の形になります。

n (θ^−θ)≈ℓ′(θ)/n−ℓ′′(θ)/n\sqrt{n}\,(\hat{\theta} - \theta) \approx \frac{\ell'(\theta)/\sqrt{n}}{-\ell''(\theta)/n}

【分子と分母の動き】

  1. 分子: ℓ′(θ)\ell'(\theta) は独立なスコアの和なので、中心極限定理より N(0,I(θ))N(0, I(\theta)) に分布収束する
  2. 分母: 大数の法則より I(θ)I(\theta) に確率収束する
  3. スルツキーの補題より、全体は N(0,I(θ)/I(θ)2)=N(0,1/I(θ))N(0, I(\theta)/I(\theta)^2) = N(0, 1/I(\theta)) に分布収束する

極限定理の記事で学んだ道具が、ここで勢ぞろいしました。

実際に使うときは、未知の I(θ)I(\theta) に I(θ^)I(\hat{\theta}) を代入して、標準誤差を 1/nI(θ^)1/\sqrt{nI(\hat{\theta})} とします。味見の回数を4倍にすると、味の見積もりの誤差が半分になるイメージです。

例題:ポアソン分布の近似信頼区間

ポアソン分布から n=100n = 100 の標本をとると、xˉ=4\bar{x} = 4 でした。λ\lambda の最尤推定値、標準誤差、近似95%信頼区間を求めましょう。

【解き方】

  1. 最尤推定値は λ^=xˉ=4\hat{\lambda} = \bar{x} = 4
  2. I(λ)=1/λI(\lambda) = 1/\lambda なので、分散は λ/n\lambda/n。標準誤差は 4/100=0.2\sqrt{4/100} = 0.2
  3. 区間は 4±1.96×0.24 \pm 1.96 \times 0.2 で、3.61から4.39

答えは推定値4、標準誤差0.2、区間 [3.61, 4.39] です。

母数の関数 g(θ)g(\theta) を推定したいときは、デルタ法と組み合わせます。不変性から g(θ^)g(\hat{\theta}) が最尤推定量なので、次の近似が使えます。

n {g(θ^)−g(θ)} →d N(0, g′(θ)2I(θ))\sqrt{n}\,\{g(\hat{\theta}) - g(\theta)\} \ \xrightarrow{d}\ N\left(0,\ \frac{g'(\theta)^2}{I(\theta)}\right)

せっかくなので、別の例も見てみましょう。100人中30人が賛成のとき、p^=0.3\hat{p} = 0.3 で、対数オッズ g(p)=log⁡{p/(1−p)}g(p) = \log\{p/(1-p)\} の推定値は約 −0.847 です。g′(p)=1/{p(1−p)}g'(p) = 1/\{p(1-p)\} なので、分散は 1/{np(1−p)}=1/21≈0.04761/\{np(1-p)\} = 1/21 \approx 0.0476 で、標準誤差は約0.218です。この計算は、ロジスティック回帰の標準誤差の基本です。

ただし、正則条件を満たさない例もあります。代表は U(0,θ)U(0, \theta) です。分布の範囲が θ\theta で決まるので、尤度が微分できません。実際、θ^=X(n)\hat{\theta} = X_{(n)} について、n(θ−X(n))n(\theta - X_{(n)}) は平均 θ\theta の指数分布に分布収束します。正規分布ではなく、収束の速さも 1/n1/\sqrt{n} より速い 1/n1/n です。

試験のポイント:最尤推定量の漸近分散は 1/{nI(θ)}1/\{nI(\theta)\} です。I(θ)I(\theta) が1個分か nn 個分かを確かめましょう。範囲が母数で決まる分布には使えません。

以上が、最尤推定量の漸近正規性についての説明です。

カルバック・ライブラー情報量:分布のズレを測る

続いて、2つの分布の違いを測る量について解説します。

天気予報の例で考えましょう。雨の確率を30%と言い続ける予報士がいて、本当は50%で降るとします。この予報士の言葉を信じると、どのくらい損をするでしょうか? これを測るのが、カルバック・ライブラー情報量(KL情報量)です。真の分布を gg、モデルの分布を ff として、次のように定めます。

D(g ∥ f)=Eg[log⁡g(X)f(X)]=∫g(x)log⁡g(x)f(x) dxD(g \,\|\, f) = E_g\left[\log\frac{g(X)}{f(X)}\right] = \int g(x)\log\frac{g(x)}{f(x)}\,dx

離散型なら積分を和に変えます。言葉で言うと、「gg から出たデータを見たときの、対数尤度の差の平均」です。

【KL情報量の性質】

  1. 非負: D(g ∥ f)≥0D(g \,\|\, f) \ge 0 で、等号は f=gf = g のときだけ(イェンセンの不等式から)
  2. 非対称: ふつう D(g ∥ f)≠D(f ∥ g)D(g \,\|\, f) \ne D(f \,\|\, g)
  3. 三角不等式を満たさない

2つ目のために、KL情報量は距離ではありません。行きは下り坂で、帰りは上り坂の道のようなものです。

数値で確かめましょう。雨の例で、gg は確率0.5、ff は確率0.3のベルヌーイ分布とします。

D(g ∥ f)=0.5log⁡0.50.3+0.5log⁡0.50.7≈0.0872D(g \,\|\, f) = 0.5\log\frac{0.5}{0.3} + 0.5\log\frac{0.5}{0.7} \approx 0.0872

逆向きの D(f ∥ g)D(f \,\|\, g) を計算すると、約0.0823です。確かに値が違います。

別の例として、分散の等しい2つの正規分布 N(μ1,σ2)N(\mu_1, \sigma^2) と N(μ2,σ2)N(\mu_2, \sigma^2) では、D=(μ1−μ2)2/(2σ2)D = (\mu_1 - \mu_2)^2/(2\sigma^2) です。例えば、平均の差が1、σ=2\sigma = 2 なら、1÷8=0.1251 \div 8 = 0.125 です。この場合は対称になります。

ここがポイントです。KL情報量は、最尤法と深い関係があります。D(g ∥ fθ)=Eg[log⁡g]−Eg[log⁡fθ]D(g \,\|\, f_\theta) = E_g[\log g] - E_g[\log f_\theta] の第1項は θ\theta によらないので、DD を最小にするのは Eg[log⁡fθ]E_g[\log f_\theta] を最大にするのと同じです。大数の法則より、次の近似が成り立ちます。

1n∑i=1nlog⁡f(Xi;θ)≈Eg[log⁡f(X;θ)]\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}\log f(X_i;\theta) \approx E_g[\log f(X;\theta)]

左辺は対数尤度の 1/n1/n です。つまり、最尤法は「真の分布とのKL情報量が最小のモデルを選ぶ方法」なのです。モデルが間違っていても、最尤推定量はモデルの中で真の分布に最も近い点に向かいます。この考え方が、のちの記事で学ぶAICの土台になります。

さらに、フィッシャー情報量とのつながりもあります。θ\theta と θ+h\theta + h が近いとき、次の近似が成り立ちます。

D(fθ ∥ fθ+h)≈h22 I(θ)D(f_\theta \,\|\, f_{\theta + h}) \approx \frac{h^2}{2}\,I(\theta)

例えば、p=0.5p = 0.5(I=4I = 4)と p=0.55p = 0.55 のベルヌーイ分布では、右辺は 0.052×4÷2=0.0050.05^2 \times 4 \div 2 = 0.005 で、正確な値は約0.00503です。情報量が大きいほど、母数の小さな差が、分布の大きな違いになって表れます。

以上が、カルバック・ライブラー情報量についての解説です。

ジャックナイフ法:1個ずつ抜いて確かめる

最後に、計算で偏りと標準誤差を見積もる方法を見ていきましょう。

複雑な推定量では、バイアスや分散の式が分からないことがあります。そこで使うのが、ジャックナイフ法 です。データを1個ずつ抜いて推定し直し、結果の変化を見る方法です。

部活のチームで、1人ずつ順番に抜いて試合をしてみる場面を思い浮かべてください。誰が抜けても成績が変わらないなら、チームは安定しています。誰かが抜けると大きく変わるなら、不安定だと分かります。同じことを推定量で行うのです。

ii 番目を除いた n−1n-1 個から計算した推定値を θ^(i)\hat{\theta}_{(i)}、その平均を θˉ(⋅)\bar{\theta}_{(\cdot)} とします。次の3つの量を計算します。

Bias^=(n−1)(θˉ(⋅)−θ^),θ^J=nθ^−(n−1) θˉ(⋅)\widehat{\text{Bias}} = (n-1)\left(\bar{\theta}_{(\cdot)} - \hat{\theta}\right), \qquad \hat{\theta}_J = n\hat{\theta} - (n-1)\,\bar{\theta}_{(\cdot)} SE^=n−1n∑i=1n(θ^(i)−θˉ(⋅))2\widehat{\text{SE}} = \sqrt{\frac{n-1}{n}\sum_{i=1}^{n}\left(\hat{\theta}_{(i)} - \bar{\theta}_{(\cdot)}\right)^2}

θ^J\hat{\theta}_J はバイアスを引いた推定量です。なぜ偏りが減るのでしょうか? 多くの推定量のバイアスは、E[θ^]=θ+a/n+b/n2+⋯E[\hat{\theta}] = \theta + a/n + b/n^2 + \cdots の形です。n−1n-1 個の推定量なら、a/(n−1)a/(n-1) です。nn 倍と n−1n-1 倍で引き算すると、aa の項が消えます。残るバイアスは 1/n21/n^2 の大きさです。

例題:標本分散の偏りを補正する

データ 2, 4, 6, 8 について、θ^=1n∑i(xi−xˉ)2\hat{\theta} = \frac{1}{n}\sum_i (x_i - \bar{x})^2 のジャックナイフ推定値を求めましょう。

【解き方】

  1. 全体で計算する: xˉ=5\bar{x} = 5 で、θ^=(9+1+1+9)÷4=5\hat{\theta} = (9 + 1 + 1 + 9) \div 4 = 5
  2. 1個ずつ抜く: 2を抜くと {4,6,8}\{4, 6, 8\} で8/3、4を抜くと {2,6,8}\{2, 6, 8\} で56/9。対称性から、θ^(i)\hat{\theta}_{(i)} は順に 8/3, 56/9, 56/9, 8/3
  3. 平均する: θˉ(⋅)=40/9≈4.44\bar{\theta}_{(\cdot)} = 40/9 \approx 4.44
  4. 補正する: θ^J=4×5−3×40/9=20/3≈6.67\hat{\theta}_J = 4 \times 5 - 3 \times 40/9 = 20/3 \approx 6.67

答えは約6.67です。これは不偏分散 S2=20/3S^2 = 20/3 に一致します。分母が nn の推定量の偏りは、ジャックナイフ法でちょうど取り除かれます。

なお、推定量が Xˉ\bar{X} のとき、上の標準誤差の式は S/nS/\sqrt{n} に一致します。式を知らなくても、よく知った答えが出てくるのです。

ただし、弱点もあります。中央値のように、データの小さな変化で滑らかに動かない推定量では、ジャックナイフ法の標準誤差は当てになりません。その場合は、のちの記事で学ぶブートストラップ法を使います。

以上が、ジャックナイフ法についての解説です。

細かい導出を忘れてしまっても問題ありません。ここでは、「情報量は対数尤度の尖り具合で、最尤推定量の分散は nn と情報量の積の逆数になる」という点だけ押さえておきましょう。

今回のまとめ

それでは、今回の内容を振り返ります。

今回は、標本が大きいときの推定量の性質について紹介しました。最尤推定量は、標本が大きければ正規分布に近づき、分散の限界にも届きます。統計ソフトの標準誤差が当たり前のように出てくる背景には、この定理があります。

今回のポイントを振り返りましょう。

振り返り

  • フィッシャー情報量は対数尤度の山の尖り具合で、スコアの分散に等しい。nn 個なら nn 倍になる。
  • 最尤推定量は近似的に N(θ,1/{nI(θ)})N(\theta, 1/\{nI(\theta)\}) に従い、漸近有効である。関数にはデルタ法を使う。
  • 範囲が母数で決まる分布は正則条件を満たさず、この結果は使えない。
  • KL情報量は分布のズレを測る量で、最尤法はこれを小さくするモデルを選んでいる。距離ではなく非対称。
  • ジャックナイフ法は1個ずつ抜いて、バイアスと標準誤差を計算で見積もる。

キーワードのおさらい

  • フィッシャー情報量: スコアの分散。データが母数についてもつ情報の量
  • 最尤推定量の漸近正規性: n(θ^−θ)\sqrt{n}(\hat{\theta} - \theta) が N(0,1/I(θ))N(0, 1/I(\theta)) に分布収束する性質
  • カルバック・ライブラー情報量: Eg[log⁡(g/f)]E_g[\log(g/f)] で定める、分布 gg から見た ff のズレ
  • ジャックナイフ法: データを1個ずつ除いて再計算し、バイアスと標準誤差を見積もる方法

さて、ここまでは「母数はいくつか」という1つの値を求める話でした。でも、推定値には必ず誤差があります。誤差まで含めて、「母数はこの範囲にある」と言うにはどうすればよいでしょうか?

次回は、一般の分布にも使える信頼区間の作り方である「区間推定」について紹介します。

それでは、次の記事へ進んでいきましょう。

練習問題5問開いて挑戦する
問1. ポアソン分布からの n=400n = 400 の標本で xˉ=9\bar{x} = 9 だった。λ\lambda の最尤推定量の標準誤差の推定値として、正しいものはどれか。
問2. 平均 θ\theta の指数分布の最尤推定量 θ^\hat{\theta} について、n(θ^−θ)\sqrt{n}(\hat{\theta} - \theta) の極限分布として正しいものはどれか。
問3. ポアソン分布の λ\lambda の最尤推定量 λ^\hat{\lambda} と n=100n = 100 について、2λ^2\sqrt{\hat{\lambda}} の漸近分散として正しいものはどれか。
問4. N(0,4)N(0, 4) と N(3,4)N(3, 4) のカルバック・ライブラー情報量として、正しいものはどれか。
問5. データ 1, 2, 6 について、θ^=xˉ2\hat{\theta} = \bar{x}^2 のジャックナイフ推定値 θ^J\hat{\theta}_J に最も近いものはどれか。