統計学 学習ノート

統計検定の4級から1級まで、出題範囲の順に記事と練習問題で学ぶ

準1級-13 応用統計の手法

区間推定

  • 信頼係数
  • 信頼区間の構成(母平均
  • 母分散
  • 母比率
  • 母分散の比
  • 2標本問題)
  • 被覆確率
  • 片側信頼限界

はじめに

「95%信頼区間って書いてあるけど、本当に95%で当たるの?」

2級では、xˉ±1.96×\bar{x} \pm 1.96 \times 標準誤差のような公式で信頼区間を作りました。ところで、10人の調査で支持率が10%だったとき、同じように公式に入れるとどうなるでしょうか? 区間の下の端が、マイナスになることがあります。支持率がマイナスというのは、さすがにおかしいですよね。

実は、区間に書かれた「95%」は、いつも保証されているわけではありません。公式の多くは近似で、条件によっては本当の的中率が60%台まで落ちることもあります。

そこで登場するのが、今回の主役 被覆確率 です。被覆確率とは、信頼区間が真の母数を実際に含む確率のことです。

前回の記事では、最尤推定量の漸近正規性を学びました。今回の記事では、信頼区間の構成(母平均、母分散、母比率、母分散の比、2標本問題)を、ピボットという1つの考え方で整理し、被覆確率と片側信頼限界について解説します。

信頼係数と被覆確率:輪投げの輪の性能

はじめに、信頼区間の性能の測り方について解説します。

2級で学んだ見方を思い出しましょう。信頼区間は、輪投げのようなものです。地面の杭が真の母数 θ\theta で、動かないのは杭のほうです。投げるたびに位置が変わる輪が、データから作った区間 [L(X),U(X)][L(X), U(X)] です。

輪が杭に入る確率を θ\theta の関数として書いたものが、被覆確率 です。

C(θ)=Pθ(L(X)≤θ≤U(X))C(\theta) = P_\theta\big(L(X) \le \theta \le U(X)\big)

θ\theta の値によって、入りやすさが変わることがあります。そこで、最も悪い場合の被覆確率を、その区間の 信頼係数 と定めます。

信頼係数=inf⁡θC(θ)\text{信頼係数} = \inf_{\theta} C(\theta)

inf⁡\inf は下限を表します。つまり、「どんな θ\theta でも、少なくともこの確率では含む」という保証の値が信頼係数です。お店の「最低保証」のようなものです。

では、そのような区間はどう作るのでしょうか? 基本の道具が ピボット です。ピボットとは、データと θ\theta の関数で、分布が θ\theta によらない量 Q(X,θ)Q(X, \theta) のことです。

【ピボットで区間を作る手順】

  1. 分布が θ\theta によらない量 Q(X,θ)Q(X, \theta) を見つける
  2. その分布の表から、P(a≤Q≤b)=1−αP(a \le Q \le b) = 1 - \alpha となる a,ba, b を読む
  3. 不等式 a≤Q(X,θ)≤ba \le Q(X, \theta) \le b を θ\theta について解く

3つ目が、確率の話を θ\theta の範囲の話に変える一番のポイントです。変換の前後で不等式は同じなので、作った区間の被覆確率は、どの θ\theta でも正確に 1−α1 - \alpha になります。

具体的に見てみましょう。今回使うピボットは、次のとおりです。

調べたいものピボット従う分布
母平均(σ\sigma 未知)(Xˉ−μ)/(S/n)(\bar{X} - \mu)/(S/\sqrt{n})t(n−1)t(n-1)
母分散(n−1)S2/σ2(n-1)S^2/\sigma^2χ2(n−1)\chi^2(n-1)
母分散の比(S12/S22)/(σ12/σ22)(S_1^2/S_2^2)/(\sigma_1^2/\sigma_2^2)F(n1−1,n2−1)F(n_1 - 1, n_2 - 1)
指数分布の平均 θ\theta2∑iXi/θ2\sum_i X_i/\thetaχ2(2n)\chi^2(2n)
U(0,θ)U(0, \theta) の θ\thetaX(n)/θX_{(n)}/\theta分布関数 unu^n

正規分布でなくても、ピボットさえ見つかれば区間は作れます。

例題:一様分布の信頼区間

U(0,θ)U(0, \theta) から大きさ5の標本をとると、最大値は8でした。θ\theta の95%信頼区間を、最大値のピボットから作りましょう。

【解き方】

  1. Q=X(5)/θQ = X_{(5)}/\theta は 0<Q<10 < Q < 1 で、P(Q≤u)=u5P(Q \le u) = u^5
  2. P(Q≥a)=0.95P(Q \ge a) = 0.95 となる aa は、a5=0.05a^5 = 0.05 より a=0.051/5≈0.549a = 0.05^{1/5} \approx 0.549
  3. 不等式 a≤X(5)/θ≤1a \le X_{(5)}/\theta \le 1 を解く: X(5)≤θ≤X(5)/aX_{(5)} \le \theta \le X_{(5)}/a
  4. 代入する: 8≤θ≤8÷0.549≈14.68 \le \theta \le 8 \div 0.549 \approx 14.6

答えは [8, 14.6] です。θ\theta が8より小さいことはないので、区間の左端は最大値そのものです。推定値の前後に同じ幅をとる、という形にならない点がおもしろいところです。

以上が、信頼係数と被覆確率についての解説です。

正規母集団の母平均と母分散

次に、最も基本の2つの区間を説明します。

どちらも2級で計算しました。ここでは、ピボットの手順から式を出し直します。

T=(Xˉ−μ)/(S/n)T = (\bar{X} - \mu)/(S/\sqrt{n}) について −tα/2(n−1)≤T≤tα/2(n−1)-t_{\alpha/2}(n-1) \le T \le t_{\alpha/2}(n-1) を μ\mu について解くと、母平均 の 100(1−α)100(1-\alpha)%信頼区間が得られます。

Xˉ−tα/2(n−1)Sn ≤ μ ≤ Xˉ+tα/2(n−1)Sn\bar{X} - t_{\alpha/2}(n-1)\frac{S}{\sqrt{n}} \ \le\ \mu \ \le\ \bar{X} + t_{\alpha/2}(n-1)\frac{S}{\sqrt{n}}

母分散 は、(n−1)S2/σ2(n-1)S^2/\sigma^2 がカイ二乗分布の下側と上側の点の間に入る、という不等式を σ2\sigma^2 について解きます。逆数をとるので、上下が入れ替わります。

(n−1)S2χα/22(n−1) ≤ σ2 ≤ (n−1)S2χ1−α/22(n−1)\frac{(n-1)S^2}{\chi^2_{\alpha/2}(n-1)} \ \le\ \sigma^2 \ \le\ \frac{(n-1)S^2}{\chi^2_{1-\alpha/2}(n-1)}

例えば、n=16n = 16、xˉ=52\bar{x} = 52、s=8s = 8 なら、母平均の95%信頼区間は 52±2.131×252 \pm 2.131 \times 2 で、[47.74, 56.26] です。

また、n=11n = 11、s2=9s^2 = 9 なら、χ0.0252(10)=20.48\chi^2_{0.025}(10) = 20.48、χ0.9752(10)=3.25\chi^2_{0.975}(10) = 3.25 です。母分散の95%信頼区間は、90÷20.48≈4.3990 \div 20.48 \approx 4.39 から 90÷3.25≈27.790 \div 3.25 \approx 27.7 までです。s2=9s^2 = 9 に対して右に長い、左右非対称の区間になることに注意しましょう。

2つの区間には、性格の違いがあります。母平均の区間は中心極限定理に守られるので、母集団が正規分布から少しズレても、被覆確率はあまり崩れません。一方で、母分散の区間は正規性に強く頼っています。例えば、裾の厚い分布では、被覆確率が0.95を大きく下回ります。頑丈な橋と、条件のいい日にしか渡れない吊り橋の違いのようなものです。

試験のポイント:母分散の区間の下限には上側の点(大きい値)、上限には下側の点(小さい値)を使います。逆にしないよう注意しましょう。

以上が、正規母集団の区間についての説明です。

母比率:近似の区間と被覆確率

続いて、母比率の区間を解説します。ここで、冒頭の疑問に答えます。

2級で使った 母比率 の区間は、次の形でした。Wald型の区間と呼びます。

p^±zα/2p^(1−p^)n\hat{p} \pm z_{\alpha/2}\sqrt{\frac{\hat{p}(1-\hat{p})}{n}}

これは、p^\hat{p} を漸近正規性で近似した区間です。(p^−p)/p^(1−p^)/n(\hat{p} - p)/\sqrt{\hat{p}(1-\hat{p})/n} を近似のピボットとして使っています。nn が小さいときや、pp が0や1に近いときは、近似が崩れます。

そこで、改良された区間が2つあります。

【母比率の3つの区間】

  1. Wald型: 標準誤差に p^\hat{p} を代入する。手軽だが、nn が小さいと被覆確率が低い
  2. スコア型(Wilson): 不等式 ∣p^−p∣≤zα/2p(1−p)/n|\hat{p} - p| \le z_{\alpha/2}\sqrt{p(1-p)/n} を pp の2次不等式として解く
  3. 正確な区間(Clopper-Pearson): 二項分布の確率を直接使う。ベータ分布の分位点で表せる

スコア型は、標準誤差に p^\hat{p} を代入せず、pp のまま解くのがポイントです。Clopper-Pearson の区間は、xx 回成功のとき、P(X≥x∣pL)=α/2P(X \ge x \mid p_L) = \alpha/2 となる pLp_L と、P(X≤x∣pU)=α/2P(X \le x \mid p_U) = \alpha/2 となる pUp_U を下限と上限にします。

具体的に見てみましょう。n=20n = 20 で成功が2回、p^=0.1\hat{p} = 0.1 のとき、3つの95%信頼区間は次のようになります。

区間下限上限
Wald型−0.0310.231
スコア型0.0280.301
Clopper-Pearson0.0120.317

Wald型の下限がマイナスになりました。冒頭の違和感の正体はこれです。

では、実際の的中率はどうでしょうか? 二項分布で全部の場合を足し上げて、n=20n = 20 の被覆確率を計算すると、次のようになります。

真の pp0.050.10.30.5
Wald型0.6390.8760.9470.959
スコア型0.9250.9570.9750.959
Clopper-Pearson0.9840.9890.9750.959

表の見方を説明します。「95%」と書いた区間の、本当の的中率です。Wald型は p=0.05p = 0.05 で64%まで落ちています。「内容量95g」と書いた袋に、64gしか入っていないようなものです。一方で、Clopper-Pearson は必ず95%以上です。内容量を割らないように、多めに詰めた袋にあたります。そのぶん、区間は広くなります。

ここがポイントです。データが離散型なので、被覆確率をちょうど0.95にそろえることはできません。pp を動かすと、被覆確率はギザギザに上下します。

補足(ここは読み飛ばしてOK): 目安として、np^n\hat{p} と n(1−p^)n(1-\hat{p}) がともに5以上あれば、正規近似はおおむね使えると言われます。試験の計算問題はWald型が基本です。

以上が、母比率の区間についての解説です。

2標本問題と母分散の比

次に、2つの母集団を比べる区間について説明します。

2標本問題 では、差や比を知りたいことが多いです。2つのラーメン店の待ち時間の差や、2つの機械のばらつきの比を思い浮かべてください。

母分散が等しい2つの正規母集団なら、次の区間です。2級で学んだプールした分散 Sp2S_p^2 を使います。

(Xˉ1−Xˉ2)±tα/2(n1+n2−2) Sp1n1+1n2,Sp2=(n1−1)S12+(n2−1)S22n1+n2−2(\bar{X}_1 - \bar{X}_2) \pm t_{\alpha/2}(n_1 + n_2 - 2)\, S_p\sqrt{\frac{1}{n_1} + \frac{1}{n_2}}, \qquad S_p^2 = \frac{(n_1 - 1)S_1^2 + (n_2 - 1)S_2^2}{n_1 + n_2 - 2}

等分散が仮定できないときは、Welch の方法を使います。標準誤差を S12/n1+S22/n2\sqrt{S_1^2/n_1 + S_2^2/n_2} とし、自由度を次の式で近似します。

ν≈(S12/n1+S22/n2)2(S12/n1)2n1−1+(S22/n2)2n2−1\nu \approx \frac{(S_1^2/n_1 + S_2^2/n_2)^2}{\dfrac{(S_1^2/n_1)^2}{n_1 - 1} + \dfrac{(S_2^2/n_2)^2}{n_2 - 1}}

また、同じ人の前後のように対応のあるデータなら、差 DiD_i を1標本とみなして、母平均の区間を使います。

母比率の差は、(p^1−p^2)±zα/2p^1(1−p^1)/n1+p^2(1−p^2)/n2(\hat{p}_1 - \hat{p}_2) \pm z_{\alpha/2}\sqrt{\hat{p}_1(1-\hat{p}_1)/n_1 + \hat{p}_2(1-\hat{p}_2)/n_2} です。例えば、200人ずつで p^1=0.6\hat{p}_1 = 0.6、p^2=0.5\hat{p}_2 = 0.5 なら、標準誤差は約0.0495です。95%信頼区間は [0.003, 0.197] で、0をわずかに含みません。

母分散の比 は、ピボット (S12/σ12)/(S22/σ22)∼F(n1−1,n2−1)(S_1^2/\sigma_1^2)/(S_2^2/\sigma_2^2) \sim F(n_1 - 1, n_2 - 1) から導きます。下側の点には F1−α/2(a,b)=1/Fα/2(b,a)F_{1-\alpha/2}(a, b) = 1/F_{\alpha/2}(b, a) を使うので、次の形になります。

S12/S22Fα/2(n1−1, n2−1) ≤ σ12σ22 ≤ S12S22 Fα/2(n2−1, n1−1)\frac{S_1^2/S_2^2}{F_{\alpha/2}(n_1 - 1,\ n_2 - 1)} \ \le\ \frac{\sigma_1^2}{\sigma_2^2} \ \le\ \frac{S_1^2}{S_2^2}\, F_{\alpha/2}(n_2 - 1,\ n_1 - 1)

上限で自由度が入れ替わる点が要注意です。

例題:平均の差と分散の比

2つの工場の製品から n1=10n_1 = 10、n2=12n_2 = 12 の標本をとると、xˉ1=75\bar{x}_1 = 75、s1=4s_1 = 4、xˉ2=70\bar{x}_2 = 70、s2=5s_2 = 5 でした。σ12/σ22\sigma_1^2/\sigma_2^2 の95%信頼区間を求めて、等分散を仮定してよいかを見たうえで、平均の差の95%信頼区間を求めましょう。F0.025(9,11)=3.59F_{0.025}(9, 11) = 3.59、F0.025(11,9)=3.91F_{0.025}(11, 9) = 3.91、t0.025(20)=2.086t_{0.025}(20) = 2.086 とします。

【解き方】

  1. 分散の比は s12/s22=16÷25=0.64s_1^2/s_2^2 = 16 \div 25 = 0.64
  2. 区間は 0.64÷3.59≈0.180.64 \div 3.59 \approx 0.18 から 0.64×3.91≈2.500.64 \times 3.91 \approx 2.50 まで。1を含むので、等分散と矛盾しない
  3. sp2=(9×16+11×25)÷20=20.95s_p^2 = (9 \times 16 + 11 \times 25) \div 20 = 20.95
  4. 標準誤差は 20.95×(1/10+1/12)≈1.96\sqrt{20.95 \times (1/10 + 1/12)} \approx 1.96
  5. 区間は 5±2.086×1.965 \pm 2.086 \times 1.96 で、約 [0.91, 9.09]

答えは、分散の比が [0.18, 2.50]、平均の差が [0.91, 9.09] です。なお、Welch の方法でも自由度は約20、標準誤差は約1.92で、結果はほとんど変わりません。

以上が、2標本問題と母分散の比についての説明です。

片側信頼限界:片方だけを保証する

最後に、片側の区間を見ていきましょう。

ここまでの区間は、左右の両方に端がありました。でも、「電池の寿命は少なくとも何時間か」「不良率は高くても何%か」のように、片方の端だけが知りたいこともあります。製品の保証書に書くのは、下限だけですよね。

片側信頼限界 とは、Pθ(L(X)≤θ)≥1−αP_\theta(L(X) \le \theta) \ge 1 - \alpha を満たす LL(下側信頼限界)、または Pθ(θ≤U(X))≥1−αP_\theta(\theta \le U(X)) \ge 1 - \alpha を満たす UU(上側信頼限界)のことです。作り方は同じですが、α/2\alpha/2 ではなく α\alpha を片側に全部あてます。

例えば、さきほどの n=16n = 16、xˉ=52\bar{x} = 52、s=8s = 8 なら、95%下側信頼限界は 52−t0.05(15)×2=52−1.753×2≈48.4952 - t_{0.05}(15) \times 2 = 52 - 1.753 \times 2 \approx 48.49 です。両側の下限47.74より、値が高くなっています。

例題:寿命の下側信頼限界

寿命が平均 θ\theta の指数分布に従う部品を10個調べると、寿命の合計は12,000時間でした。θ\theta の95%下側信頼限界を求めましょう。χ0.052(20)=31.41\chi^2_{0.05}(20) = 31.41 とします。

【解き方】

  1. ピボットは 2∑iXi/θ∼χ2(20)2\sum_i X_i/\theta \sim \chi^2(20)
  2. P(2∑iXi/θ≤31.41)=0.95P(2\sum_i X_i/\theta \le 31.41) = 0.95
  3. θ\theta について解く: θ≥2∑iXi/31.41\theta \ge 2\sum_i X_i/31.41
  4. 代入する: 24000÷31.41≈76424000 \div 31.41 \approx 764

答えは約764時間です。「95%の信頼度で、平均寿命は764時間以上」と言えます。平均の推定値1,200時間より、ずいぶん控えめな値です。

せっかくなので、別の例も見てみましょう。60個調べて不良品が0個だったとき、不良率は0%と言ってよいでしょうか? 上側信頼限界を求めます。不良率 pp で60個とも良品である確率 (1−p)60(1-p)^{60} が0.05となる pp が上限で、1−0.051/60≈0.0491 - 0.05^{1/60} \approx 0.049 です。つまり、不良率は高くて約4.9%です。これは 3/n3/n で近似できます。0個という結果は、0%の証明ではありません。

ところで、信頼区間と検定は表裏の関係にあります。θ0\theta_0 が95%信頼区間に入ることと、H0:θ=θ0H_0: \theta = \theta_0 が有意水準5%で棄却されないことは、同じ意味です。片側信頼限界は、片側検定と対応します。

試験のポイント:片側では t0.05t_{0.05} や z0.05z_{0.05} のように、α\alpha をそのまま使います。t0.025t_{0.025} を使わないよう気をつけましょう。

以上が、片側信頼限界についての解説です。

細かい公式を忘れてしまっても問題ありません。ここでは、「ピボットを見つけて不等式を解く」「表示の信頼係数と実際の被覆確率は違うことがある」という点だけ押さえておきましょう。

今回のまとめ

それでは、今回の内容を振り返ります。

今回は、信頼区間の作り方をピボットで整理し、被覆確率で性能を確かめることを紹介しました。公式に数字を入れれば、区間はいつでも出てきます。でも、その「95%」が本当に95%なのかを確かめる目を持つことが、準1級の大切なステップです。

今回のポイントを振り返りましょう。

振り返り

  • 被覆確率は輪が杭に入る確率で、最も悪い場合の値が信頼係数になる。
  • ピボットは分布が母数によらない量で、不等式を解くと信頼区間になる。
  • 母比率のWald型は nn が小さいと被覆確率が大きく落ちる。スコア型や正確な区間で補う。
  • 分散の比の上限では、F分布の自由度が入れ替わる。
  • 片側信頼限界では α\alpha を片側に全部あてる。不良0個でも上限は約 3/n3/n ある。

キーワードのおさらい

  • 信頼係数: どの母数の値でも保証される被覆確率の下限
  • 被覆確率: 信頼区間が真の母数を含む確率
  • ピボット: データと母数の関数で、分布が母数によらない量
  • 信頼区間の構成: ピボットなどから、母平均・母分散・母比率・母分散の比・2標本問題の区間を導くこと
  • 片側信頼限界: 母数の下側または上側の一方だけを保証する限界値

さて、区間の話の最後に、検定との表裏の関係が出てきました。では、検定の性能はどう測るのでしょうか? 「有意差なし」と出たとき、本当に差はないと言えるのでしょうか?

次回は、検出力とサンプルサイズの決定、多重比較を中心に「検定の基礎」を紹介します。

それでは、次の記事へ進んでいきましょう。

練習問題5問開いて挑戦する
問1. 信頼区間の被覆確率と信頼係数の説明として、最も適切なものはどれか。
問2. 正規母集団から n=25n = 25 の標本をとると xˉ=30\bar{x} = 30、s=5s = 5 だった。t0.025(24)=2.064t_{0.025}(24) = 2.064 のとき、母平均の95%信頼区間に最も近いものはどれか。
問3. 正規母集団から n=21n = 21 の標本をとると s2=10s^2 = 10 だった。χ0.0252(20)=34.17\chi^2_{0.025}(20) = 34.17、χ0.9752(20)=9.59\chi^2_{0.975}(20) = 9.59 のとき、母分散の95%信頼区間に最も近いものはどれか。
問4. 2つの正規母集団から n1=n2=10n_1 = n_2 = 10 の標本をとると s12/s22=2s_1^2/s_2^2 = 2 だった。F0.025(9,9)=4.03F_{0.025}(9, 9) = 4.03 のとき、σ12/σ22\sigma_1^2/\sigma_2^2 の95%信頼区間に最も近いものはどれか。
問5. 製品を100個調べて不良品が0個だった。不良率 pp の95%上側信頼限界に最も近いものはどれか。